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小1の男の子が書いた「ぼうりょくについて」。

7月9日、安倍元総理への銃撃事件を受け、「#乙武大行進」を行った。選挙最終日ではあったが、これは選挙活動としてではなく、あくまで暴力行為への抗議活動として、渋谷から国会議事堂までを歩くことにしたのだ。

車椅子から降りて、地べたを這うようにして歩く私を先頭とするデモ行進は、“世界一遅いデモ”と言っても過言ではなく、結局、渋谷から国会議事堂までは12時間かかってしまった。

にもかかわらず、ゴール付近には300名近い方が集まってくださったほか、ゴールの瞬間にはYouTube同時視聴9000名超、さらにはTwitterでは何時間も「#乙武大行進」がトレンドワード入りしていたそうだ。

もちろん、「そんなことをして何になる」「ただのパフォーマンスに過ぎない」といった批判は甘んじて受け入れるしかないが、それでも「暴力は絶対に許してはならない」というメッセージは、私なりの方法で伝えることができたのではないかと思っている。

当日は私の友人・知人も駆けつけてくれたが、なかには子どもを連れて参加してくれた友人もいた。当日は私もそこまで余裕がなく、「おお、ありがとう!」と短い腕を振って挨拶をする程度だったが、つい先日、友人の一人がこんなメッセージをくれた。

「小1の息子の初めての夏休みの自由作文、『おとたけだいこうしん』を選んで4日くらいかけて書いたよ。初めてのバスケの試合とか、初めての石垣島とか色々あったけど、『おとたけひろただが頑張って歩いたこと書きたい』って最初から最後まで揺るがなかったよ」

小1の息子さんが、間違いなく楽しい思い出だったであろう石垣島よりも優先して書いてくれた作文のタイトルは、「ぼうりょくについて」。はじめはは微笑ましく読んでいた私の表情は、みるみるうちに変わっていった。

「ぼうりょくについて」
 
 ぼくは、おともだちのことをたたいたり、ひとがいやがることをしたときに、ままにいつもおこられています。
 
 7がつ8かに、あべもとしゅしょうがじゅうでうたれてしんでしまった。ぼくは、それをテレビでみたときに、かわいそうっておもいました。なぜなら、どんなひとにもぼうりょくはぜったいにだめだし、どんなひともしあわせにいきてほしいからです。

 そのじけんのつぎのひ、ままのおともだちの、おとたけひろたださんが、ぼうりょくにはんたいするために、しぶやからこっかいぎじどうの5きろのみちを、くるまいすからおりてあるくという「おとたけだいこうしん」をやるとままからきいた。ままが、「きょうしかないからいっしょにいこう」といったけど、ぼくは、もっとこうえんであそびたかったので、さいしょはいきたくなかったけど、きょうしかないのでいくことにしました。

 おとたけだいこうしんにむかうでんしゃのなかで、ままからいろんなはなしをきいたり、おとたけさんのしゃしんをみせてくれました。しゃしんをみたときにてとあしがみじかくてこわいとおもいました。だから、おとたけさんにあうまできんちょうしてました。

 でんしゃをおりて、おとたけさんがあるいているすがたをみつけたとき、ぼくよりちいさくて、びっくりしました。おとたけさんにちかづいて、おとたけさんのみじかいてにハイタッチをしました。そのときのえがおをみて、やさしいひとだとおもいました。そのときからぼくは、おとたけひろたださんのことをすきになりました。あついなか、あせをたくさんかいて、はいてたずぼんもすこしやぶれてしまっていても、ときどききゅうけいしながらあるくことをあきらめなかった。おとたけさんは、12じかんかけてしぶやからこっかいぎじどうまであるききった。ゴールしたときに、みんなのまえでなきそうなこえではなした。
「きにいらないことがあったり、いけんがちがったときに、ぼうりょくされたら、うまれつきりょうてりょうあしがないぼくは、まけてしまう。ちからがよわいこどもやじょせいたちも、つよいちからでくちをふうじられてしまう。ぼうりょくをみとめるしゃかいをつくってはいけない。ぼうりょくはぜったいにゆるしちゃいけない。どうしてもこのメッセージをつたえたかった。」
このことばをきいて、いつもままがぼうりょくはぜったいにだめといっていた、いみがすこしわかった。

「てあしのないひともおびょうきのひとも、こどももおとなも、どんなひともたのしく、しあわせにいきるけんりがあるんだよ」

とままがいっていたけど、もしみんながそうやっていきれるせかいだったら、いいなっておもう。だからぼくは、きにいらないことやいけんがちがっても、たたいたりいやなことをしないようにしていきたいです。

私は驚いて、すぐに友人にメッセージを送った。

——これ、ほんとうに息子さんが書いたの??

「そうだよ。ひとつひとつ私と話しながら、どう思ったのか、どう写ったのかをお話しながら、雑談しながら、言葉のヒントを与えながら。

最後のスピーチで、おとちゃんが何て言ってたかは、YouTubeを見直して何度も聞いてた。だから4日もかかったんだけどね」

冒頭にも書いたが、今回の「#乙武大行進」にはあれこれ言う人もいた。

「そんなことをして何になる」
「ただのパフォーマンスに過ぎない」

届く人には、きちんと届いていた。

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