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ねえ、なんでダメなの。教えてよ。
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午後から雨の予報だった。主催者からは「無理はしないでくださいね」と言われていたが、行かない理由なんてなかった。何しろ、3年ぶりの開催だったのだ。
「TOKYO RAINBOW PRIDE」に参加して、もう10年近くになる。“LGBTQの祭典”とも言われるこのイベントでは、様々なアーティストによるショーやコンサートのほか、華やかなパレードも行われる。もともとはロンドンやニューヨークなど海外の大都市で行われてきたイベントだったが、ここ数年は日本でもすっかり定着してきた感がある。
実際、ニュースで取り上げられることも増えてきたし、参加者も年々増加している。イベント運営のプロではない“素人集団”が手さぐりで進めながら、ここまでイベントを拡大させてきた裏側を知っている身からすると、「よくぞここまで」と彼らの涙ぐましい努力に心から敬意を表したくなる。
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ここ2年はコロナで開催できずにいた。それでも運営陣はあきらめずに「オンライン開催」にこぎ着けた。自宅でレインボーのものを身につけて写真を撮り、Twitterで「#おうちでプライド」とハッシュタグをつけて投稿してもらう。すると、「#おうちでプライド」というハッシュタグをクリックするとオンライン上でのパレードになるという仕掛けだった。
また、いわゆる“アライ”と呼ばれるLGBTQフレンドリーな著名人によるリレートークも行われた。これらの「オンライン開催」によって、顔出しすることに抵抗があったり、地方在住で東京まで行くことが難しかったりする方々はずいぶんと参加しやすくなるといった利点もあった。
とはいえ。
やっぱり、リアルの持つ力は別格だった。霧雨くらいで持ちこたえてくれていた天気も、パレード出発の13時になると、まるでその時間に合わせたかのように本格的に降りはじめた。それでもパレード参加者は誰もが満面の笑顔でレインボーグッズに身を包み、渋谷の街へと飛び出した。
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代々木公園を出発して、渋谷駅の付近をまわり、渋谷の新名所となりつつある「MIYASHITA PARK」を通って、原宿方面へ。小一時間のパレードのあいだ、ずっと雨が降っていたけれど、誰もが笑顔だった。「これは恵みの雨ですね」なんて言っている人までいた。ふだん、これだけ降っていたら絶対に傘をさすはずなのに、誰も傘なんてさすことなく渋谷の街を練り歩いた。
それは、私にとってもだけれど、やはり参加者にとって、この場が特別なものだからだ。マイノリティとして、いまだ婚姻の権利も与えられず、職場や住まいにおいても不利益を課せられることが多く、そもそもカミングアウトすることさえ勇気が必要なこの社会において、仲間たちと胸を張って「ここにいる」と主張できる場だからだ。
もちろん、そんな場がなくたって、日頃から堂々といられる社会になればいい。実際にこうした場に来なくたって、日頃からカミングアウトもして、特にこれといった不利益を感じることなく生活している人もいる。だけど、そうでない人もいる。こうした場に来て、仲間と連帯することで初めて自分の存在を肯定することができる人もいるのだ。このイベントの重要性をあらためて痛感すると同時に、雨だったとはいえ、3年ぶりにリアルで開催できたことのありがたみを痛切に感じたのだった。
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この週は、もうひとつのイベントに参加した。参加したというより、MCという大役を仰せつかった。日本財団によって開催されてきた『True Colors Festival -超ダイバーシティ芸術祭-』が、今度は『True Colors CARAVAN』として全国各地を回ることになり、その出発式が行われたのだ。
タレントのRyuchellさんと私によるMCで幕を開けたこのイベントには、個性豊かなパフォーマーやアーティストが数多く参加して会場を盛り上げてくれた。2時間近いイベントの終盤に、MCの私たちから登壇者の方々に「このイベントを通して伝えたいこと」という質問を投げかけたときだった。同性愛者であることを公表しているタレントのぺえさんが、あらかじめ用意されたミニ黒板にこう書いたのだ。
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「私自身、結婚したいという気持ちは山々で、いまパートナーを探しているんですけど、もし見つかったとしても私と同じ境遇の方は”結婚”という形で愛を確かめることはできないんです」
「だから、私がここでこの言葉を発表して、早くそのときがくることを願っています。もうパートナーシップ制度もね、もういいです。結婚させてください!」
何が「同性婚」を阻んでいるのか、私にはよくわからない。同性婚が導入されたところで、これまで異性のことが好きで、異性と結婚することが可能だった人々の生活には1ミリも影響を与えない。これまでの制度を「変える」のではなく、これまでの制度設計から漏れてしまっていた人々のために「付け加える」だけなのだ。
幸せな人が増える。これのどこがいけないというのだろう。この機会に、あらためて声を大にして言っておきたい。
「#選択肢をふやそう」
ぜひ、みなさんも大きな声でTweetしてみてください!!
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