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新刊『四肢奮迅』のサイン会で、ある男性の行動が会場にいる人々の胸を打った話。
今月6日、新刊『四肢奮迅』の発売を記念して、八重洲ブックセンター本店にて、トークショー&サイン会を開催させていただきました。
「#四肢奮迅」刊行記念 #乙武洋匡 さんトークショー&サイン会終了。
— DONDRA (@dondracula28) November 6, 2019
非常に興味深い内容のトークを、素人にも分かりやすく、冗談も交えながら話していて、とても面白かったです。改めてお話上手い方だな、と。
乙武さんが義足プロジェクトに参加を決めた熱い思いを知り感動しました。 pic.twitter.com/i5GLwwG4j0
#乙武洋匡 @h_ototakeさんの「#四肢奮迅」出版記念サイン会 in #八重洲ブックセンター 終了!いやー初めて乙武さんに会えて感激でした!そしてキタムラさん、乙武さんの本体にもお目にかかれて嬉しかった♪ツーショットも撮っていただいたけど、恥ずかしいので載せません😁#乙武義足プロジェクト pic.twitter.com/3ohiPm5ACv
— オプティミス☀️ (@Optimis1975) November 6, 2019
乙武洋匡さんのサイン会にいってみました♪ 初めて対面する乙武さん、気さくでフレンドリーに話しかけてくれて、とてもチャーミングな方でした♪
— よいしょ (@Yoishyo) November 6, 2019
サイン会の後、希望者と写真を撮ってくれる時間を設けて下さったので、沢山の方が残りました。#四肢奮迅 #八重洲ブックセンター本店 #乙武洋匡著 pic.twitter.com/qDEidi31he
という感じで、参加してくださった皆様にもご好評いただけたようで、とてもうれしく思っています。
私が金曜MCを務める『AbemaPrime』からも、お祝いのお花を贈っていただきました。スタッフのみなさん、ありがとうございます!
さて、じつはこの会場でとてもハートウォーミングな出来事があったので、今日はそのことをご紹介できたらと思っています。
私のサイン会では、せっかくご来場くださったみなさまとできるだけ交流を持ちたいとの思いから、まずは全員分の本にサインをさせていただき、その後、ご希望の方との写真撮影をさせていただくという流れにしています。
この日も約100名の方々が購入してくださった『四肢奮迅』にすべてサインを入れ、いよいよ写真撮影に移ろうとしていたのですが——。
「すみません、私もお願いします!」
後方の座席から、こんな声が聞こえてきました。見ると、これまでも何度か私のイベントに足を運んでくださっていた女性の方がいらっしゃいました。
(そうだ、彼女は足に障害があって、歩行が困難なんだ!)
ほかの参加者の方々は列に並んで私のサインを待っていたのですが、彼女は長時間立っていることが難しいため、列が途切れるまでご自分の座席でタイミングを窺っていたのです。
こちらから彼女のもとにお伺いしようかとも思ったのですが、パイプ椅子がぎっしり並んだ会場では電動車椅子が通れるようなスペースもなく、私自身も「どうしたものかな」とまごついていました。すると、すかさずスーツ姿の男性が腕をお貸しするような形でサポートに入り、彼女を前方までエスコートしてくださったのです。
そのサポート役の男性にもお礼を伝え、彼女が購入してくださった書籍にも無事にサイン。そして、2度もお立ちいただくのは大変なので、このまま写真撮影タイムのトップバッターになっていただくことに。先ほどのサポート役の男性がスマホのカメラ機能を起動させ、記念にパチリ。
「本当にありがとうございます。写真まで撮っていただいてすみません」
彼女はサポート役の男性に丁寧にお礼を伝えていました。なるほど、一緒に来たお知り合いではなく、八重洲ブックセンターか講談社のスタッフだったようです。
さあ、驚いたのはこの後です。
ふたたび腕を貸して、彼女をエスコートするスーツ姿の男性。ゆっくり、ゆっくり通路を進んで座席まで戻ると、細心の注意を払って彼女を座席に座らせます。そして、なんと、ご自分もそのとなりの席に悠然と腰を下ろしたのです。
そう、彼は八重洲ブックセンターの職員でも、講談社のスタッフでもなかったのです。たまたま彼女と隣り合わせた、参加者の一人だったのです。
しばらく開いた口がふさがりませんでした。もちろん、いい意味で。すでに予定されていた20分間のトークショーは終わっていたのですが、この光景を目の当たりにした私は、ふたたび“トークショー”モードに。会場のみなさんに語りかけました。
「日本では、どうしても障害者の手助けをするのは駅員や係員といった特別な人たちというイメージがあると思うんです。だけど、海外では周囲の人が自然にサポートしてくれる。日本もこうなったらなあと思っていた光景が、まさにいま目の前で起こった。いやあ、本当に感慨深いです」
私の話を聞いて、みなさんも「うんうん」と深くうなずいてくださっていました。
サイン会が終わり、会場を出ようとエレベーターに乗り込みました。そこで『四肢奮迅』の営業を担当してくださっている講談社の男性社員の方が口にした言葉が、とても印象深いものでした。
「さっき乙武さんが言われていたこと、まさにそうだなと。街中で障害のある方を目にしても、どこか見て見ぬふりじゃないですけど、駅員の方、係員の方にお任せしようという気持ちが働いてしまう。もしやり方がわからない自分がお手伝いして、何かマイナスのことが起こったらどうしようと身構えてしまうんですよね」
まさに、日本における健常者と障害者の間に存在する“壁”が、この言葉の中で端的に表現されていると思うんです。つまり、「慣れていない」ということが最大の壁になってしまっている。
あとでわかったことなのですが、会場で足に障害のある女性をサポートしてくださったスーツ姿の男性参加者の方は、最近、私が対談させていただいた山田千紘さんのお兄様でした。
山田さんは、20歳の時に電車の事故に遭い、右手と両足の3肢を失った28歳の青年。つまり、サポートしてくださった男性も、普段から障害者と接することに「慣れていた」のです。
健常者が障害者と接することに「慣れていない」問題。今後、日本社会ではどのように解決していけばいいのでしょうか。これもまた、いずれ書いてみようと思っています。
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