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どうしても自立ができない私は、どのように「自立」と向き合っているのか。
「濃厚接触を避けてください」
「ソーシャルディスタンスを保ってください」
この一年、どれだけ聞かされてきた言葉だろうか。感染症の拡大を防ぐためにはごく当たり前の指示なのだが、私にはこの言葉がとても重たく感じられていた。濃厚接触を、避けられない毎日だからだ。
こうしてnoteやTwitterでえらそうなことばかり言っていると忘れられがちだが、私は重度障害者である。トイレで用を足すにも、風呂に入るにも、つねに誰かの手を借りなければならない。つまり、私自身が濃厚接触を避けられないばかりか、誰かに濃厚接触を強いることとなる。
そのため、ニュースから流れる「濃厚接触を避けてください」という言葉を耳にするたび、私は身近な人々を感染の危機に晒しているのだと自覚させられ、とても重たい気持ちにならざるを得なかったのだ。もちろん、ニュースがそうしたメッセージを発することは無理からぬことだと理解している。
じつは、コロナ前から同様に感じていたことはいくつもあった。ここで言う「同じようなこと」とは、一般的には万人に共通するメッセージとして発されたものだが、重度障害者である私にとっては非常に重たく感じられる言葉があるということだ。
そのひとつに「自立」がある。
「自立」とは何か。まずは辞書を引いてみよう。
はい、終了。さっきも書いたように、私は一人でトイレで用を足すことも、風呂に入ることもできない。誰かの力を借りなければ生活が成り立たない。つまり、「自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやって行くこと」ができないのだ。
私は、現時点で、自立ができていない。今後もできる見込みがない。そんな私が、若い頃から「自立」という言葉とどう向き合ってきたのか。この問いに対する答えは、もしかしたら生きることに何らかの苦しみを抱えている健常者の方にもヒントになるかもしれない。
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「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116
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