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「外交的ボイコット」を議論する上で、完全に忘れられている視点。

まだ東京オリンピック・パラリンピックが閉幕して3ヶ月ほどしか経っていないが、もう来年2月には中国・北京で冬季オリンピック・パラリンピックが開催される。しかし、その北京オリンピック・パラリンピックに対して、「外交的ボイコット」をすべきであるという声が上がっている。

発端は、アメリカ政府の対応だ。従来から「人権重視」を掲げているバイデン政権は、「人権侵害が行われている状況下では通常どおりに対応するわけにいかないというメッセージになる」(サキ報道官)として、政府関係者を開会式などに派遣しない方針を打ち出したのだ。

中国では、以前から少数民族であるウイグル族が、政府から投獄、拷問されるなどの弾圧が続いていると言われている。また、最近では同国の女子テニス選手が、前の元副首相から性的関係を強要されたとネットで告白した一ヶ月後に行方がわからなくなるといったことも起こっている。こうした状況を踏まえ、「人権の観点から、中国はオリンピック・パラリンピックを開催するのにふさわしい国ではない」という指摘がなされているのだ。

アメリカのこの動きに対して、各国の反応はどうか。オーストラリアやイギリス、カナダなどは同調し、同じく外交的ボイコットの姿勢を見せている。一方、フランスはマクロン大統領が「外交的ボイコットのような対応は効果が小さく、象徴的でしかない。オリンピックは政治化されるべきではなく、有益な効果がある行動のほうが対応として好ましい」として、外交的ボイコットは行わない姿勢を示した。

日本では、保守系議員らが「日本も外交的ボイコットをすべきだ」といった論陣を張る一方、“ハト派”と言われる宏池会の会長を務める岸田首相は慎重な姿勢を見せている。「外交的ボイコットすべきだ」「いや、慎重であるべきだ」という議論がここ最近のニュースを賑わせているなかで、私自身はある疑問を抱いている。ニュースの中で、なぜこの論点が語られないのか不思議で仕方がない。

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