新作小説『ヒゲとナプキン』 #2
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部屋着の上にパーカーを羽織っただけの格好で家を出たイツキは、少し肌寒さを感じて胸の前で腕組みをした。コンバースのスニーカーで固めた足元がやけに重たく感じられるのは、さっきよりも少し痛みが増した子宮のせいだけではなさそうだった。街灯に照らされた自分の影が長く伸びる。「これくらいの背丈があればいいのに」と心の中でつぶやきながら足元の小石を蹴った。一六二センチ。女性にしては平均的だが、男性としては確実にチビだった。
自宅から最寄りのコンビニが近づいてきた。イツキ