なりたい!サウンドクリエイター!!Vol.6 ゲーム開発でのサウンド制作の流れ
Vol.5 では、ゲームのサウンド制作に関わる人たち、いわゆる、
『サウンドクリエイター』
について説明致しました。
今回は、そのサウンドクリエイター達が、どのようにゲーム開発に関わっていくかの話となります。
なお、前回も記載しましたが、サウンド制作の流れは、会社やプロジェクトによって異なるので、『大体こんな流れ』という認識で読んで頂ければよいかと思います。
●まずは予算とスケジュール!
どの業界でも、予算とスケジュールは大事です。
そして、ゲームのサウンド制作でもそれは同じです。
ゲーム全体の開発スケジュールや予算などを念頭に、サウンドもスケジュールを立てていきます。
これはサウンドディレクターが行います。
この段階では、
『海外の有名楽団に演奏してもらいたい!』
『環境音の収録は海外で!』
などといった妄想・・・ではなく、要望が出てきたりしますが、どこまで金をかけてクオリティを上げるか、といった線引きが必要になります。
予算が潤沢に用意されれば、色々とやりたいことができるかもですが、なかなかそうはいかないことも多く・・・。
●サウンドシステムの構築
実際にどのようなサウンドにするかといったことも検討します。
インタラクティブミュージックにしたければ、そのための仕組みをサウンドプログラマが作るなり、市販のミドルウェアを導入するなりの作業が必要となります。
シームレスでフィールドの環境音を変えるためには、各ゾーンごとに環境音を設定し、再生、停止させる機能が必要です。
何気なく鳴っているサウンドですが、何気なく聞かすために、サウンドクリエイターは苦心しているわけですね。
ちなみに、サウンドに限らずですが、凝ったことをしようとすると、そのために様々な機能を作る必要があります。
そうなると、
『作業時間が増える→人件費が増える』
となり、コストがどんどん膨らみます。
このあたりの線引きが非常に難しいのは、どこの業界でも同じではないかと思います。
●ゲームに必要なデータのリストアップ
ゲームにどれくらいの曲や効果音が必要かを精査し、それらを洗い出す必要があります。
これがわからないと、スケジュールは立てられません。
そして、曲は初期の段階でそれなりに制作数はわかるのですが、効果音は初期の段階で正確な数を出すことは難しいです。
というのも、後からどんどんゲームの機能が追加され、そこで初めて、『この音が必要』とわかるケースもあるため、規模が大きいゲームほど、スケジュール調整が難しくなります。
●試作段階でのデータ制作と動作確認
Vol.3 にあるように、ゲームは初期の段階で試作品を作ります。
その試作品に必要なサウンドのデータを作ることになります。
試作段階では、曲や効果音はそれほど必要ではありません。
そのため、規模が大きなプロジェクトでも、試作段階では、サウンドクリエイターは実は一人ということもあります。
●本格的なデータ制作開始
試作品がOK出て、本制作に入ることになると、サウンドクリエイターも本制作、つまり、量産体制に入ります。
この辺りから、サウンドもぼちぼち忙しくなってきます。
●音声収録
プロジェクトも終盤になると、シナリオやキャラのセリフが固まっていきます。
そうなると、音声収録が並行して行われます。
サウンドクリエイターは、音声収録に立ち会う機会が多いので、憧れの声優に会えるかもしれないゾ!
ただし、スタジオで会ったことをSNS などに書き込むのはNGなので、ご注意を!
●デバッグ
ゲーム開発も佳境に入ると、音を鳴らす仕組みも実装され、サウンドクリエイターが制作した音が鳴るようになってきます。
そうなると、ゲーム中に再生されている音が、本当にサウンドクリエイターの意図した通りかを確認する必要が出てきます。
特にサウンドデザイナーのデバッグは大変で、足音だったら、土や砂、石などの地面属性に応じて、サウンドデザイナーが作った足音が正しく鳴っているかなど、ひたすら細かいチェックを行います。
非常に神経を使う作業ですが、ユーザーにゲームを楽しんでもらうための、非常に大切な作業となります。
●マスターアップ
デバッグが終了すれば、後はマスターロムを提出するのみ。
この段階で『マスターアップ』となり、商品用のメディア、つまり、店頭に並ぶゲームソフトを製造することになります。
ただし、商品用のメディアだけに発生するバグというのもあるので、油断はできません。
まあ、ここで油断できないのはディレクターやプログラマーなので、サウンドクリエイターは、『マスターアップ』宣言が出れば、まったりしても問題ないでしょう。
そして、プロジェクトのアサインを解除され、次の修羅場・・・ではなく、次のプロジェクトに配属され、またサウンドを作り続けていくわけですね。
ちなみに、コンシューマーゲームだと、マスターアップから発売までタイムラグが発生し、場合によっては、月単位でラグが発生するため、発売されたゲームの画面を見て思うことは、
『懐かしい!』
となります(笑)。
如何だったでしょうか?
会社やプロジェクトによって違いはあるものの、大体このような感じでサウンドクリエイターは、ゲーム開発に関わることになります。
そして、ゲームのサウンドクリエイターになるには、どうすればよいか?
というのを、次回以降の記事で解説していきたいと思います。