「優しいヒーロー」大谷翔平選手が生まれた背景に、敏感な人への追い風を見る
野球の侍ジャパンが優勝したWBCのメイキング映画「憧れを超えた侍たち~世界一への記録~」も見た。感動的だった。
侍ジャパンがチームが一丸となって世界一になるプロセスがよく分かって、心を動かされた。
その中で一番印象に残ったのは、大谷翔平選手のように自分を確固として持って努力を重ね、世界でとてつもなく大きな成果を挙げられる人が生まれている事。
これまでにも才能ある人が努力を重ね、世界で活躍する光景を見てきた。
これまでの人との違いは、周囲に優しいこと。
周囲を蹴落とすという発想ではなく、才能に慢心せずあくまでも自己鍛錬を惜しまない。
勝負には当然こだわるが、周囲にも配慮ができる。
フェアプレーを重視し、周囲とも融和しながら、圧倒的な力で勝とうとするところが特徴的だ。
私は、大谷翔平選手のような人を「優しいヒーロー」と呼びたい。
これまでは、人を攻撃し蹴落とすくらいでないと勝負には勝てないとい考えが主流だった。
だから成果を出す人は周囲に対し攻撃的で、お山の大将的な人が多かった。
昔を知る人間は、優しいヒーローを見て「甘い」と感じてしまうだろう。
しかし、優しいヒーローはそんな周囲の評価を吹き飛ばすように、圧倒的な成果を挙げてしまう。
優しいけれど、圧倒的な成果をあげる。気は優しくて力持ち。まるでフィクションの世界のヒーローだ。
周囲の人に配慮し、優しいけれど弱いと言われがちな敏感な人にとっても、優しいヒーローは憧れの存在。
自分も優しいヒーローのように、何とか成果をあげたいと考えている。
今回は、この優しいヒーローが生まれた背景を探る中で、敏感な人が優しいヒーローになれるのかについて考えてみたい。
■優しいヒーローの生まれた背景
優しいヒーローが生まれた背景とは何だろうか?
一番大きいのは社会環境の変化だ。
才能のある人間が大きく育つための社会環境が整ってきたことが一番大きい。
逆に言えば、飛躍する人材の目を摘んでしまう社会が残っていたとも言える。
ほんの10数年前の社会は体罰が身近にあった。
言葉も含めた理不尽な暴力も日常茶飯事。
今でも、まだそうかもしれない。
このような厳しい環境の中、強いことが正義、そうでなければ社会では生きていけないと多くの人が思っていた。
周囲に棘を出しながら生きる。
常に虚勢を張って、周囲に隙を見せないようにしてきた。
目には目を、力には力をもって対しないといけないと思っていた。
しかし、近年社会は大きく変わった。
人権意識の高まり
第二次世界大戦の反省から生まれた1948年の「世界人権宣言」の採択以降、世界の人権意識はどんどん高まっている。
人種差別の撤廃、女性の人権、障害者の人権など、マイノリティの人権が意識され、人権尊重がグローバルスタンダードとなっている。
日本の人権政策は、戦後に制定された日本国憲法に記載された「基本的人権の尊重」を基本に各種法令を制定し、グローバルスタンダードに対応してきた。
まだまだ世界の潮流には大きく遅れ、後追いを続けているが、変化は着実に進んでいる。
男性優位の社会からの変化
日本において近年特に顕著なのは、男性優位社会からの脱却である。
女性の権利について様々な場面で改善がなされ、過去当たり前だった「男は仕事、女は家庭」、「家長である夫に妻も子どもも従うのが当然」などの考えがどんどん衰退している。
もちろんまだまだ十分とは言いがたいし、男尊の社会風土は根深いが、ここ最近の変化は大きい。
■敏感な人は優しいヒーローになれる?
敏感な人は、大きな成果をあげる「優しいヒーロー」になれるだろうか。
敏感な人は、その気質故に周囲に大きく左右され、成果を十分にあげることが出来ていない。
社会環境が変化してきたとはいえ、敏感な人にとっては危険を感じることもしばしば。
周囲から心ない言葉も沢山受け、そしてたくさん傷ついてきた。
考え過ぎと言われても、敏感な人にとってそれが自分の気質であり、変えることは難しい。
そんな敏感な人が優しいヒーローを目指すことは不可能なのだろうか?
まずは、敏感な人と「優しいヒーロー」との共通点を考えてみたい。
一番は周囲に配慮が出来ること。
優しいヒーローは、常に自分をもちつつも、チームが勝つ事を第一にして努力している。それがチーム内でのよい関係性をつくっている。
敏感な人も周囲に配慮しすぎるぐらい配慮している。
動機は、争いを極力避けたいという理由かもしれない。
敏感な気質を持つ私もそうである。
悪く言えば、敏感な人は傷つきたくないから、周囲に迎合し配慮しているともいえる。
しかし周囲をきちんと意識し、配慮の元で建設的な関係性をつくるという能力は今の時代にとても大切だ。
動機はともあれ、周囲との関係をつくるための配慮は必要であるし、配慮する力は自分自身を助けているともいえる。
もうひとつは、独りよがりな考えをもっていない事。
優しいヒーローは、自分や周囲を客観的に見ている。そして、自分をどうすれば高められるかを常に意識し、行動している。
だからこそ、大きな成果をあげられるのだ。
敏感な人は周囲につい合わせてしまうが故に、独りよがりになれない。
しかし、そのおかげで、客観的に周囲を、自分を見る機会が生まれているともいえる。
敏感な人が客観的に自分、周囲を見ることが出来れば、それは大きなアドバンテージになる。
これらの共通点は、今の時代に成果をあげるための大きな武器と言っていい。
敏感な人は優しいヒーローになれるか?
私はなれると思っている。
周囲にも配慮し、自己を高め、健全な競争に打ち勝っていける唯一無二の存在になれる。
敏感な人が優しい巨人になるための一番の課題は、自己を保ち、集中して自己を高めるために環境をコントロールする事。
敏感な人が苦労している周囲からの刺激を少なくするために、環境をコントロールするのだ。
そうすることで、敏感な人は力を発揮しやすくなる。
先に述べた社会環境の変化も、敏感な人が力を発揮するための追い風となっている。
環境をコントロール出来れば、敏感な人の良さである周囲に対する配慮、独りよがりではない謙虚さ、客観的な視点が活きてくる。
それは自信にもつながり、自己を更に高め、成果にも繋がってくる。
■まとめ
今回は、優しいヒーローが生まれた背景について、そして敏感な人は優しいヒーローになれるかについて考えてみた。
優しいヒーローが生まれ来た背景は、社会環境の変化、人権意識の高まりが一番大きい。
子どもの才能を伸ばすための教育につながり、大きな成果をあげられる人が生まれてきていると感じる。
また敏感な人にとっても、この社会環境の変化は追い風と考えていい。
敏感な人にとって様々な場面で障害となる刺激が少なくなるからだ。
この追い風を受け、更に能動的に環境をコントロールすることで、謙虚さ、客観的な視点など敏感な人の強みを最大限活かすことが出来る。
そうすることで、敏感な人は大きな成果があげられるだろう。
敏感な人が、環境に振り回されることなく自己を高め、大きな成果をあげられることを期待したい。
■追伸
敏感な人が、周囲の環境に影響されず自分を保ち、成果をあげる方法について書いています。
よければご覧下さい。
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