【音楽の話】#4 コード(後半)
コード(前半)からの続きです。ここからはおしゃれコードの話になってきます。なるべく理論的なことは省いて雰囲気だけを書いてみました。
セブンス(7)とメジャーセブンス(M7)
最も基本的な4和音、セブンスコードは難易度★★です。前回、3和音のコードは2度違いの音が2つ続いたものだと説明しました。なので、今度は、2度違いを3つつなげて4和音にします。
そうです、セブンスの7は3和音のコードに7度の音を足す、という意味です。
ここでは、Ⅱ-ⅣーⅥーⅠとⅣ-ⅥーⅠーⅢの2パターンを見てみましょう。
Ⅱ-ⅣーⅥ-Ⅰは、Ⅱ(半音3つ)Ⅳ(半音4つ)Ⅵ(半音3つ)Ⅰとなります。
ⅣーⅥーⅠーⅢは、Ⅳ(半音4つ)Ⅵ(半音3つ)Ⅰ(半音4つ)Ⅲとなります。
ポイントは足された7度の音が半音3つの場合と4つの場合があるということです。そこで、半音3つの場合をセブンス(7th)といい前半の3和音に7という表記をつけ足します。Ⅱ-ⅣーⅥ-ⅠならⅡm7(Ⅱ minor seventh)です。
そして、半音4つの場合をメジャー・セブンス(Major 7th)といい前半の3和音にM7という表記をつけ足します。ⅣーⅥーⅠーⅢならⅣM7(Ⅳ Major seventh)です。ちなみにマイナーコード、例えばⅣmに半音4つの音が足された場合は、ⅣmM7(Ⅳ minor major seventh)になります。
上記は西洋音階に乗っているパターンで説明しましたが、もちろんそれに縛られる必要はありません。なのでメジャーコードにもマイナーコードにも、セブンスやマイナーセブンスがあり、それぞれ響きが違います。
3和音が優等生っぽい綺麗な和音だとするとちょっとフランクに崩したような印象になります。ブルースでは多用されます。
コード進行にもいずれ触れたいと思いますが、一番よくあるセブンスの使い方として、Ⅴ7からⅠに進行するパターンがあります。定番の落ち着くコード進行です。お辞儀するときの「なおれ」の進行ですね。
サスフォー(sus4)
ここで、コード進行の話が出てきたので、難易度★★の3和音、サスフォーの話です。
メジャーコードの改造版で、メジャーコードが半音4つ+3つだったのに対し、サスフォーは半音5つ+2つです。つまりⅠ-Ⅳ-Ⅴの形です。2度差が落ち着く音ということは、3度差と1度差のこのコードはとても不安定だということがわかります。そして真ん中の音が半音下がるだけで安定することもわかります。
表記はメジャーコードにsus4を追記するだけです。ルート音がCならCsus4です。4度に引っ張る(suspend)という意味ですね。
なのでほとんどの場合は、Ⅰsus4からⅠのように同じルート音のメジャーコードに戻る進行で使われます。
シックス(6)
さて4和音に戻って難易度★★★のシックスです。セブンスと同様に3和音に6度の音をつけ足したものです。
ここでは、Ⅰ-Ⅲ-Ⅴ-ⅥとⅥーⅠ-Ⅲ-Ⅳのパターンを考えてみます。
Ⅰ-Ⅲ-Ⅴ-ⅥはⅠ(半音4つ)Ⅲ(半音3つ)Ⅴ(半音2つ)Ⅵとなります。
Ⅵ-Ⅰ-Ⅲ-ⅣはⅥ(半音3つ)Ⅰ(半音4つ)Ⅲ(半音1つ)Ⅳとなります。
ここで後者の5度の音と半音1つずれた音はすごく違和感があります。演奏をミスった音みたいな印象のほうが強いのでこちらは和音としては通常成立しません。
そこで前者の半音2つの音を足した方をシックス(6th)とよび3和音に6の表記を足します。
さてこのコードどんな時に使うかというと、似ているコードの代わりに使う転回とか代理コードという使われ方が多い気がします。Ⅰ6(Ⅰ-Ⅲ-Ⅴ-Ⅵ)をⅥm(Ⅵ-ⅠーⅢ)の代わりに使うというようなイメージです。
ナインス(9)とアドナインス(add9)
さてセブンス(7th)、シックス(6th)ときて、ナインス(9th)ですが、ここでちょっとだけ表記ルールが他と違うので注意が必要です。なので難易度★★★★とします。
まず9度というのはオクターブが1周してしまうので2度と同じです。ドの9つ上はドレミファソラシドレのレです。でもコード表記では、セカンドとは言いません。
そして、セブンスコードに9度の音を足すのがナインス(9th)で、表記は7の代わりに9をつけ足します。
3和音に9度の音を足す場合はアドナインス(add9)です。表記は3和音にadd9をつけ足します。
またシックスのときと同様、7度の音から半音4つの場合と3つの場合がありますが、半音3つの音は1度の音と半音1つしか違わないのであまり使えません。なので、ナインス、アドナインスの場合は半音4つの音を使います。
音階に乗った音で例を出すと、ⅤーⅥ-ⅦーⅡ-ⅣがⅤ9(Ⅴ ninth)。Ⅴ-Ⅵ-Ⅶ-ⅡがⅤadd9(Ⅴ add-ninth)になります。
ディミニッシュ(dim)とオーギュメント(aug)
さて、メジャーコード(半音4つ+3つ)もマイナーコード(半音3つ+4つ)も1度と5度の音の関係は半音7つで響きがとても安定しています。
ではここから難易度★★★★★です。
半音3つ+3つ+3つの4和音の響きをディミニッシュ(dim)といいます。むちゃくちゃ不安定なんですが、実はセブンスと1音しか違わないんです。
表記はルート音にdimと書きます。響きが不安定すぎて悪魔のコードと言われ、教会では弾いてはいけない和音だったそうです。
もうひとつ、半音4つ+4つの3和音の響きをオーギュメント(aug)と言います。
本来5度に来てほしい音が半音上がってます。
でもそこから半音上がるとシックスの構成音になります。
さらに半音上がるとセブンスの構成音になります。
さらに半音上がるとメジャーセブンスの構成音になります。
つまり経過するコードとしてコード進行の途中にあると気持ちいい和音です。表記はルート音にaugと書きます。
マイナーセブンフラットファイブ(m7-5)
最後に前半で西洋音階に乗った3和音を探し出すときにⅦをルートにする和音は半音3つ+3つでディミニッシュっぽい構成になりましたよね。
でもここでさらに半音3つを重ねると西洋音階に乗らないのでそこを半音4つにしたものが、マイナーセブンフラットファイブ(m7-5)です。
マイナーセブンス(マイナーコードのセブンス)の5度の音を半音下げた(フラット)という意味です。
西洋音階でⅦをルートにする和音のためのコードのようなものなので、たいていはⅦm7-5で使用されます。
まだまだ世の中にはもっとおしゃれなコードがあります。が、とりあえずここまでわかれば、あとは応用して理解できると思います。私の備忘録としてもここまでで十分かな。次はコードの転回の話を書きたいと思います。