頭に、草が生えました。


みんなはきれいな花なのに、
どうしてどうして私だけ。


頭から芽が出る。
それは、人を好きになった証。
その人を思えば思うほど、
芽は育ち、花が咲くのです。

花が咲いたら、ついに告白。
よくある告白のセリフは、
「あなたを思っていたら、
 こんなにきれいな花が咲きました。」

なのにどうして!私のは草。
恋い焦がれるほどボォボォと、
草原のように広がるのです。

—もう会えない。こんな草生やして。

草娘が、セーラー服をなびかせ
教室から走り去ろうとすると・・
「どうしたんだい、草なんて生やして。」

彼だわ!
草娘は恥ずかしくって、
大きな雫が瞳からしたたり落ちる・・その時。


ぽとり


落ちたのは、七色にかがやく朝露。
頭の草たちが集めてくれたのです。


鼻の頭についた朝露をペロッと舐めると、
彼はこう言いました。

「あれ、君がかわいく見えてきた。
 それに、なんだかくすぐったいな。」

彼が頭に手をやると・・



「芽だ。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?