この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第44回]
江村即事 こうそんそくじ
野岸江村雨熟梅 やがん江村 雨に梅熟し
水平風軟燕飛回 水平らかに風柔らかく 燕飛びめぐる
小舟送餉荷包飯 しょうしゅう しょうを送る かほうのはん
遠旆招沽竹醞醅 えんはい 招きうる ちくうんのばい
高啓
川沿いの村の風景
川ぞいの村の雨あがり、野の梅が熟している
おだやかな風のなか、水面はとろんと平らかで、燕が飛びまわっている
手前の舟は、はすの葉でくるんだ弁当を売っていて、
むこうの舟は「竹焼酎はいかがー」と呼んでいる
*餉=しょう=べんとう
荷=か=はすの葉
旆=はい=旗=酒屋の看板
沽=うる=売る
醞=うん=酒を醸したもの
醅=ばい=どぶろく
酒飲み、のん兵衛には、たまらない
天国のような詩です。
今でも、東南アジアの国々などでは、
運河に小舟を浮かべ、食べ物など売っている風景を
時々見かけますが、
アウトドアで、広い水上で、
ボートを浮かべて、飲み食いするのは、
なんとも楽しそうです。
これは今も昔も変わりませんね。