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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第95回]
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真白い帆をつけたヨットにのって
少年は出発しました
遠い遠い海のどこかに
宝島があると
おじいさんにきいたことがあったから
ひとりぽっちで
少年は旅をつづけて
あんまりながく走ったので
いつか
宝島のことをわすれました
少年はもう
何をさがしているのかわからない
どこへ行くのかもわかりません
それでも走って行くのです
遠い海のむこうへ
いまごろ
あの少年は魚に
なっているかもしれません
立原えりか
*この詩も再登場です。
前回は [ 第9回 ] 8か月ほど前でした。
この詩、若者の人生に向かっての、
そして希望を追い求めての、
旅立ちとさまよいと挫折の詩です。
今回の絵は、
旅立ちにポイントをおいて描きました。
安楽な子供時代からの別れ、
愛にみちた世界からの旅立ち、
そして魅惑と希望と未知の世界を、
背景の赤紫で象徴しました。