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会津地方振興局 自治体変革PJ-DXの開催報告

今回のPJ-DX研修で取り組みたかったこと

既に袋井市や藤沢市、東京都庁、東京都区市町村でも実施している「自治体変革PJ-DX」について、会津地方の13市町村向けに実施しました。なぜ、このエリアで行ったかというと、小規模の自治体が多く協力の機運があったことと、下記の内容を試しても大丈夫!というところがあったからである。

1、複数自治体で業務の標準化やDXをするときにも活用できるか?
2、その際に、普段と違い何が必要となるか?
3、課題の粒度はすり合わせることができるのか?

研修自体は、全体研修 + 3.5h×5日のスタイルで実施しました。

第1回のまとめグラレコ


普段と変更した箇所

1、情報部門の方が多いので、観点をブラッシュアップすることよりも、業務ヒアリング、要件ヒアリングや、機能のまとめ方に力点を置いたこと。ここについては、会津地方だからこそやっちゃえと思って変えていった。

2、プロトタイプの実施は、プロのエンジニアの力を借りて実施する。普段は、私が作ることも多いのだが、私は今回は要件を引き出す方に徹底して、エンジニア&デザイナー陣でプロトタイプを実施してもらった。これによって、プロトタイプ中により詳細な要件もわかってくる。ICT企業と対話するときの練習台にもなる。

3、各回の間に、アドバイス情報としてチームごとに、この部分曖昧では?このようなところをブラッシュアップしてみては?ということを個別に資料を作って引き出させたこと。

4、マネジメントというワードを各所に散りばめて、プロジェクトということを意識させる。

研修の結果

・複数自治体で業務の標準化やDXをするときにも活用できる

・1つのチームが、複数自治体で業務をまとめていくときの標準プロセスを検討してくれたため、どのようなシナリオの時(一部事務事業か?それとも同一のサービスをみんなで使う?個別導入?)に必要なことや全体の航海図(α版となるだろう)が描けた。これからのDXは複数部門・組織を跨いだ改革となるので、このようなマネジメントの領域をしっかりと定着させないと個人の技能に頼ったものになってしまう。

・とはいえ、現場に行かずに考えてしまうとやはり抽象的になり、具体的業務のどれから始めたら良いかわからないということは発生する。現場の人へのヒアリング力や巻き込み力を高めていかなければいかない。これについては、単体の自治体の時にも同じこと。

・課題の粒度については、目標やゴールをしっかりと設定することで、その枝の下に入ることは確認できた。この際、システム思考的なアプローチが非常に有効であった。

・プロトタイプを触ることにより、実際の機能として難しいところはフェーズを変えるかどうか、どこまでの機能が詳細として必要かということをエンジニアとその場で確認できることは大きな収穫である。これは、打ち合わせ→サンプル→確認→手直しの繰り返しに時間を使うより効果的である。そのためには、ゴールを明確にしていたり、そのプロセスでは何がしたいのかが判明していなければいけない。そのための要件の詳細化(ヒアリング)はやはり大事である。

会津地方振興局では、広域のDX指針も示しており、これから地域内での業務標準化も必要なところなので、この研修の結果を1つの事例として、①業務検討の標準プロセスの活用とブラッシュアップ、②複数自治体で検討した業務のプロジェクト化を含めた提案につながると良いなと思います。

「デジタルで行政業務連携へ 福島県会津地方の13市町村 広域のDX指針は全国初」

第5回のまとめグラレコ

今後に向けて

この研修の結果のもう一つの効果は、情報部門の人たちが、現課の人たちから情報を収集するときに曖昧なやりたいことではなく、各プロセスでどうしたいのか、どういう業務の要求があるのかをしっかりまとめないと、デジタル化してDXまで持っていくのは難しいと気がついてもらったことでもある。ICTを自ら構築する能力よりも、現場の業務を理解する力(俗にいうビジネスコンサルタント)や現場の要件を言語化してICT企業に説明できるトランスレーターとしての力、それらの要求・要件を見ながら必要な構成を設計できる力をこれからも育てていってもらえればと思います。

必要なのは「何か」を明確にする力

「何か」を作れる力だけでなく、「何か」を明確にする力。これが欠けているので、自治体DXは進まないのです。

「何か」を作れる力は、外注できますが「何か」を明確にするのは自治体職員一人一人が考えて決めることです。

実験台に一緒になってくれる自治体には、このようなこともできるので、本気でやる気があればご相談ください。

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