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経産省 自治体DXワークショップ Day1 サービスデザイン編


今回は、経産省主催で行った自治体DXワークショップの1日目サービスデザイン 編について説明します。自治体DXワークショップは半日×3回を利用してゴールをめざします。ただし、アンケートからも分かったのですが、本格的に検討するためには、もう少し時間を取った方がよいので、是非進め方のステップを覚えて実践編へと昇華すると良いかと思います。

当日使った資料はこちら。

<ワークショップのチーム構成>

運営チームは5名です。メインファシリテーターが1名、テーブルを回るテーブルファシリテーターが2名、現場の進行状況とWSの内容を描くグラフィックレコーダーが2名です。
当然のことながら、当日いきなりは無理なので、事前に全体の流れ、参加者の状況、課題の内容など2、3回集まり準備します。

<ワークショップの参加者>

私が作成するアクティブラーニングは、全て現場の方とセットで参加してもらっています。特に、サービスデザインを組み込むとなると、現場の方の感じ方や、普段の行動が重要となるので、これがない場合には参加受付をしないこととしています。
ちょっと辛口に言うと、情報部門は調整やプロジェクトを横軸でさすのが苦手な方が多いです。今後、DXを進めようと思った時に、現課の方を巻き込めないようではなかなか進まないので、敢えて研修だからこそ、話してもらうようにしています。実は、この部分から、ワークショップなのです。

<ワークショップの進め方 イントロダクション >

まずは、グラウンドルールから。今回のワークショップでは普段の延長戦ではなく、主体的に、運営チームも含んでワンチームで取り組むことを確認します。普段はチャレンジできないようなことも、試してみながら、おかしなところを直していく、という心づもりを醸成します。

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続いては、Icebreakerを実施します。今回は例として、本当は普段どんなイメージを自治体庁舎があったらいいなの潜在的なところを聞いていますが、今日のワークショップ前の頭の体操となるようなものであれば、どのような形のものを入れてもらっても構いません。
ちなみに、ポジティブな意見がたくさん出てくる自治体と、ネガティブな意見ばかり出てくる自治体があり、そのような意見の交換からも気づきを得ることができます。

<ワークショップの進め方 デザイン思考/サービスデザインのインプット>

その後からは、私からサービスデザインがなぜ必要になったのかを具体的な自治体の事例や、世の中の変化を含めて話を進めます。
この時に必要なのは、単なる座学で眠くなるような形にならないように、ユーモアや、グサっうちもそうだよ!など、合いの手が入るぐらい軽快にやることです。

資料の中身も、漫画を入れることにより、目でも理解できる作りにしています。また、サービス設計12カ条については、それぞれについて説明できるようにしておきましょう。12カ条を読み上げただけでは、何のことだかわからないものも多いです、自分なりの具体的例を持って話すと伝わります。今回は、12カ条も色々なシーンで使うためにアイコンも用意しました。こうすることで、テーブルファシリテーターに12カ条カードを持たせることで、抜けている視点がないか考えを引き出すアイテムとなります。

自治体の事例の場合も、気がついたら変えて良いということが分かる事例を使うと良いでしょう。今回は、私が関わっているプロジェクトや、ワークショップを例に出しましたが、自分で説明できないものを説明しようとすると難しいことになるので、ここは民間の例なり自分自身が経験した例に変える方がよいかもしれません(もしくは、私を呼ぶか、レクチャーしてもらうかです)。

<ワークショップの進め方 本体>

今回のワークショップのゴールは、①要求仕様をまとめること、②提案書を完成させることの2点です。この2つに必要な項目が漏れなく考えられている状況を作り出します。おかげさまで今回の10自治体は、全て要求仕様をまとめ、提案書を作ることができました。
せっかくのサービスデザインなので、1周だけでなく、今回は短い時間で2周回すことにトライしています。

下記はワークの様子です。

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【1周目に行うこと】
①実際に起こっている課題を明確なストーリーとする
 まず、宿題で事前に書いてきてもらったものがおかしくないか確認します
②課題のストーリーについて、現課の方より話してもらい、聞き手は共感の
 ポイントを書いていきます。このとき、表面上の話の事実としての共感と、観察から本音として見えてきたことへの共感の両方をメモれるようにシートをうまく使います。
③原因となるものの中から、真因となる問題を見つけ、問題を再度定義する
④問題に対して、どんな欲求・需要・要求があるのかニーズを考える
 この段階では、詳細なアイデアではなく、この問題が解消されたらどうなるのだろう、この問題が起こっているからこういう需要があるのではないかというものを考えていきます。大抵はこの段階で、最初に持ってきた課題の定義とは違うものが発見されます。
⑤アイデアの発散では、1周目なのでチャレンジングなものや突飛なものでも構わないので、どんなものがあれば解決するかを考えます。これは、ストーリーと心境に対応させて、どこにどんなアイデアが効き目があるかという形で今回は考えてみました。
⑥解決策として採用するアイデアを集めて、1つの解決ストーリーを作る。これは、ストーリーをプロットの形で書くことで説明できる状況を作り出します。
⑦他の自治体の方に、自分の解決ストーリーを話すことで、ずれや違和感、何で市民が最初からその情報知ってるの?などの唐突感をフィードバックしてもらいます。

そして、ここまでくると、最初にこっそり用意していた解決策のままではダメなのでは?と思われる参加者も増えてきます。

【2周目で行うこと】
①基本的には2周目も1周目と同じですが、フィードバックや、自分が説明した時にも違和感があった部分などから、共感する点を再度確認します。
②問題の再定義と、ニーズの設定の際には、1周目では気がつかなかった、前提や不足、市民目線や生活での溶け込み方、時短以外の価値なども考え1周目より深掘りをしていきます。
③アイデアの発散でも、1周目には考えていなかった観点、サービス設計12カ条、DXのポイント、どのように利用してもらうかなども検討にいれて、ストーリーの中で解決アイデアを考えます。この時、課題のストーリーは、最初と同じなので注意しましょう、逆に、問題の捉え方を変えたことで、心境については少し変化がでるでしょう。
④解決ストーリーの作成は、1周目で指摘された(よくあるもので言うと、市民全員がアプリを持ってる、なぜか自治体サービス全体を市民が知ってる、突然ICTをみんなが使いこなしてしまう)ことが今回は起こらないか、ストーリー上でおかしくないよう検討します。聞き手が分かるようにストーリーは作らないと、誰も利用してくれないので、伝える努力も必要です。
⑤最後に全体に向けて発表し、フィードバックをもらいます。

そうして2周目が終わると、最初はこういう仕組みを使えば解決する!とソリューションベースだったものが、利用者目線・市民目線と新たなる価値が生み出される状況へ変化していきます。時間があれば、3周目、4周目と進めたり、画面のモックアップを作って確認したりしたいところですが、今回は時間の都合上、ここまでで次回に繋げています。

<2日目までの宿題>

2日目は、データを利活用したサービスの設計、効果の確認の回となります。そのため、今回の課題のストーリーで起きていた状況について、動作にかかる時間、対象の人数、業務の回数など効果測定に必要な現実の時間を集めてきてもらうことになります。

<グラレコによる振り返り>

最後に、今回のワークショップの流れをBefore/After含めてグラレコで確認します。これを写真で撮って持って帰ってもらうだけで、復命書を書く時間も必要なくなります、これも1つの働き方改革です。現在どのフェーズをやっているのか、1周目2周目で変わった観点は何か、解決策がどう変わっていったか、それを確認することができます。

【東京回のグラレコ】
・担当:長岡造形大学 佐藤明日香さん、四條沙彩さん

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【大阪会のグラレコ】
・担当:市川電産 市川希美さん、常葉大学 中村沙絵さん

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Day2 データ利活用編に続く。

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