効果的な少子化対策
何の成果も得られない少子化対策
少し前のニュースだが、日本の出生数が70万人を下回ったらしい。この出生数はとても少ない。
氷河期世代が生まれた第二次ベビーブームの1/3である。今の子供たちは、昭和・平成を生きた氷河期世代の1/3の密度だ。スカスカである。
一方で、少子化をなんとかするための役所、こども家庭庁は5.3兆円もの予算を使っている。
5.3兆円を使って、何の成果も上げられないというのでは、尋常ではない。
では僕が、少子化担当大臣だったら、この予算で少子化を止めることができるか?
もちろん。
やるべき政策は、たったひとつ。
「国が子供を1000万円で買い取ること」だ。
子供を生んだ女性に対して、子供を引き渡す(親権その他いっさいの権利・義務を放棄すること)を条件に、1000万円を支払うのである。
こども家庭庁の、何に使っているかよくわからない予算は、ざっと5兆円である。5兆円あれば、赤ん坊ひとりにつき1000万円を支払ったとしても、50万人の赤ん坊を買い取ることができる。
つまり、意味のない少子化対策予算 5兆円を、赤ん坊の買い取りに使えたとすれば、24年の出生数は70万人に50万人が加わり、120万人になる。
”こども買い取り制度” により恩恵を受ける女性たち
1000万円は大金である。
”こども買い取り制度” が実現すれば、おもに女性が恩恵を受ける。
大学進学 女性
国立大学の学費は4年間で250万円、私立大学は500万円だ。1000万円あれば、大学への進学費用を余裕でまかなうことができる。
例えば、親がビンボーで大学への進学費用を捻出できない女性がいたとする。この女性は、子供をひとり産んで国に捧げることで、大学進学が可能になる。
氷河期世代の筆者のまわりでは、大学受験において浪人する人は珍しくなかった。”子供買い取り制度”が実現化した未来では、1年間浪人する代わりに、こどもを1人 産んだらよいのである。妊娠している間に勉強すれば偏差値の高い難関国立大学へ入学できるかもしれない。
子供を産んだ彼女は晴れて、難関国立大に合格したとしよう。国立大なら学費は4年間で250万である。年間の生活費用を月15万とすれば、4年間で720万の生活費がかかることになる。大学在学中にかかる費用は、学費と生活費をあわせて970万円だ。大学の学費と生活費は、すべて子供ひとりを産んだ報酬でまかなうことが可能だ。実際には、アルバイトを併用して、もっと余裕のある大学生活になるだろう。
プロニート 女性
”子供買い取り制度” が実現した社会では、一定数、子供を産むプロの女性が出現する。いわゆる”プロ妊婦”である。
非正規社員の生涯賃金は、44年間勤務したとしても1.1 億円である。この1.1億円という金額は、子供を11人産んでしまえば達成可能だ。
子供を11人も産むことは、大変なことだと思われるかもしれない。だが、例えば、オーストリアの女帝、マリア・テレジア(※)は16人もの子供を産んでいる。(※マリア・テレジアは、フランス王妃のマリー・アントワネットの母親)
マリア・テレジアは、オーストリアの女帝としてプロイセンやフランスとの戦争を指揮しながら16人も子供を産んでいるのである。時代をさかのぼれば、子供を10人以上産む女性は珍しくなく、普通のことであった。
”子供買い取り制度”が実現した社会では、子供を産む能力のある女性は、子供を生み続けるだけで、一生働かなくても生きていける(※)のである。
(※子供を産むことが仕事なので、働いていないという表現は厳密には間違い)
趣味が海外旅行の女性
海外旅行が好きな女性を考えてみよう。海外旅行は、少し遠い中南米やアフリカに行くとなると、50万円くらいかかる。1年間に2回、海外旅行に行くことを考えると、趣味が海外旅行という女性は、とても贅沢である。
だが、子供をひとり産めば1000万円が手に入る社会では、若い女性が海外旅行に行くことは、まったくもって普通のことになる。なにせ、年に2回 海外旅行にいったとしても1000万円あれば10年間、海外旅行を満喫することができるのだ。
副業女性
子供を産むことは、副業としてもおすすめである。体に負担をかけない仕事、特に事務仕事などは、出産直前まで働くことが可能である。したがって、”子供買い取り制度”が実現した社会では、副業としての妊娠&出産が珍しくなくなるだろう。
副業を10ヶ月して手に入れた1000万円を、配当4%の株式に投資したとしよう。年間配当金は40万円だが、税金20%が引かれるので、手取りとしては年間32万円となる。つまり、1ヶ月あたり2.7万円の配当金を得ることができる。
1回だけ、1年間だけ副業をすることで、未来永劫 2.7万円のおこづかいがもらえるようになるわけだ。”子供買い取り制度”が実現した社会では、子供を産むことほど効率がよい副業はないだろう。
老後の不安がある女性
少し前に、”老後2000万円問題”というワードが流行した。老後資金として2000万円が必要という話である。この2000万円という金額に対して、あまりに高すぎる!と非難と批判があいついだ。同時に、証券会社などの宣伝材料に使われた。
だが、”こども買い取り制度”が実現した社会であれば、こども2人を国に捧げることで、2000万円がもらえる。2年間ほど、すこし不便な生活をしなければならないが、それだけで老後の不安から解放されるのである。
問題は、比較的若いうちに産んでおかなければならないことだ。そこは計画的な人生設計をしてもらうしかない。特に、若いうちに大きな資産を得ると福利で増える。例えば、20歳で子供をひとり産んで、1000万円を利回り4%の債券に投資したとしよう。利益を再投資し続けたとしたら、65歳になった45年後には6000万円(正確には5841万円)になっている。
・・・複利の効果は、恐ろしい。
20歳で一人産むだけで、老後の不安は完全に解消されてしまう。むしろ、65歳から6000万円を使い切ることの方が難しいかもしれない。
以上の通り、”子供買い取り制度” により、女性は多大な恩恵を受けることになる。
誰が子供を育てるのか? 問題
女性にこどもを産んでもらうこと自体は、すぐにでも解決できる問題だ。こども一人につき、報酬として1000万円を支払うだけで済む。
一方で、子供を育てるにはカネがかかる。むしろ、子供は産んでからの方がカネがかかる。
誰がこどもを育てるのか? という養育費用の問題が発生する。
この問いに関する答えは明確だ。
こどもを養育するのは、”こども自身” である。
こども一人を高校卒業まで養育する費用は、生活費として約1000万円、教育費として約250万円、合計で1250万円である。
社会の多くの仕事は、中卒程度の学力があれば十分だ。現代日本の教育は、過剰すぎる。現実的には、高校教育までは不要であり、中学卒業までで十分。すると、教育・養育費用として必要なコストは1000万円となる。もちろん、集約的に養育する施設をつくれば、もっと一人当たりの養育費用は削減できるだろう。
この養育・教育費用 1000万円は、中学を卒業して働くようになったタイミングで、本人から返済してもらえばよい。
金利2%で計算して、月々5万円を返済すれば、1000万円を30年で返済できる。月 5万円は、それなりの負担であるが、返せない金額ではない。
もちろん、繰り上げ返済をしてもらえれば、もっと金利負担が減少して、トータルとしての返済金額は減少する。
そんなカネ、真面目に返済するはずがない、と思われるかもしれない。だが、解決する方法はいろいろ存在する。いくつか例示しよう。
① 洗脳教育
赤ん坊から教育できることは、一つのポイントになる。国家への忠誠こそが生きる意味だと、教育するのである。教育の効果は偉大である。明治時代にがんばって整備した小学校による教育の結果、大日本帝国の兵隊は、命がけで祖国のために戦うようになった。(それこそ、祖国から遠く離れた大陸や南洋諸島で、祖国の一部富裕層の ”権益” をまもる場合にさえ。)
月数万円を余分に払う程度の負担は、教育しだいで何とでもなる。
②社会保障方式
我々も、月5万円をゆうに超える費用を負担している。社会保険費用として月5万円よりも、もっと多くのカネを負担している。この社会保険の名目で強制的に徴収されているカネは、見知らぬ老人の生活費に使われる。返ってくるあてのないカネである。
正直な話、バカ高い社会保険費用など支払いたくはない。でも、僕を含めてほとんどの人が、国が定めた制度であるという理由だけで、毎月毎月、律儀に社会保険費を支払っている。
であれば、社会保険と同程度の強制力とペナルティを設定することで、自分自身の教育・養育費用を支払わせることが可能だろう。
③ 5人組 ~連帯責任制度の活用
前近代的であるが、連帯責任制度を活用する。5人程度のグループに分けて、彼らには、こどもの頃からずっと続く連帯責任を負ってもらう。(もちろん、国に対する養育費用の返済も連帯責任だ)
彼らは一生の友になるだろう。現代人に特有の孤独感はないはずだ。
連帯責任は、重い。大日本帝国がむちゃな特攻(自爆攻撃)をできた大きな要因の一つが、自分が逃げたら、自分の家族が村八分となり制裁をうけるという非情な現実だった。連帯責任があったから、大日本帝国は、特攻などという非人間的な兵器をつかって戦えたのである。
以上のように、こどもの養育費用を、こども自身から回収することは難しくない。
実際に、月 5万円程度の ”こども養育費用” を遙かに超える社会保険費用を、我々は現在進行形で負担しているのだ。
養育費用を、こども自身に負担させるのは非人道的か?
1000万円~2000万円の養育費用をこども自身に支払わせるのは、非人道的である。まったくもって、ひどい話だ。
彼らは、生まれながらに、1000万円~2000万円 余計に支払うことが決まっている。こんな制度許されない!と怒りを感じる人もいるだろう。
だが、今日いまこの瞬間、日本国で生まれた赤ん坊は、4000万円以上余分に支払うことが決まっている。
社会保障制度があるからね。
上図によると、2015年に産まれたこどもは、4000万円も余計にカネを支払うことが決まっている。2015年より後に生まれた世代はもっと余分にお金を支払う。(人口の多い氷河期世代ですら、2000万円以上 余分に支払いをしている。だから生活が苦しいのか!)
4000万円 余分に支払うことが確定している社会保障制度と比較して、たかが1000万~2000万 支払うことを求める ”こども養育制度” は、そこまで非人道的なのだろうか?
むしろ、顔もしらない無関係な老人の生活を支えるために支払う4000万円より、自分自身の養育に支払う1000万円のほうが、マシではないか?
4000万円徴収する社会保障制度は人道的で、1000万円徴収する養育制度は非人道的であるというのは、本当だろうか?
こどもをこども自身で養育するシステムが実現した社会では、少子化問題は大きく緩和される。つまり、社会保障負担による4000万円のマイナスは減少する。
二つの社会、人道的な社会と非人道的な社会で、生まれた子供が負担する費用を考えてみよう。
①人道的な社会
2040年の日本に生まれるこども ”Aくん”を考えよう。 Aくん の生涯における社会保障負担は5000万円だ。Aくんは、老人たちの生活を支えるために、人生で5000万円余分に支払う必要がある。
Aくんは、5000万円 余分に支払う。
②非人道的な社会
非人道的な社会に生まれるこども ”Bくん” を考える。
Bくんが生きる社会では、”こども買い取り制度”により、少子化問題は大幅に緩和されている。社会保障をささえる若い働き手が確保されるので、社会保障の負担も緩和されている。
Bくんの人生において、社会保障費用の負担は1000万円であった。一方、Bくんは、自分自身の養育費を奨学金方式で支払う義務がある。Bくんは自分自身の養育費用として、2000万円を支払う必要がある。
Bくんは、3000万円 余分に支払う。
少子化がすすむ人道的な社会では、社会保障費用がバカみたいに重くなり、こどもは産まれた瞬間に4000万円もの負債をかかえる。
養育費をこども自身に負担させるような非人道的な社会のほうが、養育費を考慮したとしても、こどもにとって負担は少なくなる。
こどもの養育費用を、こども自身に負担させる制度が非人道的であるというのならば、いまの日本国は非人道的ではないのか?
2000万円の自分の養育費負担(後払い奨学金方式)と、4000万円の社会保障費用負担で、前者が非人道的で、後者が人道的だということなど、あり得るだろうか?
単純に考えて、2000万円の自己養育費負担は、2000万円分 非人道的だし、4000万円の社会保障費用負担は 4000万円 非人道的だから、後者のほうが倍非人道的なのではないか?
もうすでに、非人道的な社会保障制度を強制しているのなら、養育費をこども自身に負担させる制度を導入してもよいではないか?
そっちのほうが、こどもにとっては負担が少ない。
あなたが、こども自身に養育費を支払わせる方式に抵抗を感じて、それより多くの大金を収奪する社会保障制度に抵抗を感じないのは、ただの現状維持バイアスだ。
”優秀な人材確保” という大きなメリット
”こども買い取り制度” が実現した社会において、こどもを養育するのは ”こども自身” である。赤ん坊から自由に教育できる機会が存在するのに、中卒程度の労働者を量産するだけでは、もったいない。
優秀な人材には、エリートコースが用意される。小学校くらいで頭の良さというのは、なんとなくわかるものだ。したがって、小学校でエリート組と、平民組とが選抜され、それぞれに最適な教育が与えられる。
小学校で、こいつは優秀と思われる人材には、将来のエリート軍人、エリート官僚として高い教育を与える。幼少期からエリート教育を徹底すれば、国家のために働いてくれるよい人材を獲得できる。
自衛官の人材不足は、解決する。
国家公務員の人材不足も解決する。
医者を養育すれば、田舎がイヤだ、効率よく稼げる美容整形医になりたい、などということはなく、国のために多少厳しい環境でも働いてくれるし、外科や救急医療のような厳しい科でも働いてくれるはずだ。
”こども買い取り制度” が実現した社会では、才能があり、能力もあり、国家に対する忠誠心がある人材を多く揃えることができる。
繁栄すること間違いなし。
まとめ:少子化問題への処方箋
少子化は、以下の政策ですぐにでも解決できる。
・国が ”こども” を1000万円で買い取る。ビンボーな女性や、ゼイタクな女性が ”こども” をたくさん産んでくれる。
・”こども” は、国が養育する。養育費用は、将来の”こども自身” が奨学金方式で負担する。