少子化が及ぼす 暗い未来
少子化は人類未曾有の危機
東京の出生率が1.0を下回ったことが話題になっている。
1人の女性が産む子供の数が、1.0ということは、ざっくり人口が30年ごとに半分になる計算だ。
(人口の半分は男性だから、人口を維持するためには1人の女性が2人の子供を産む必要がある。)
30年ごとに人口が半減するとしたら、日本人の人口は、
・100年後には、1500万人(東京都の人口と同じ、江戸時代の半分)
・200年後には、100万人(神戸市、広島市、さいたま市と同じ規模)
に減少する。
なかなかの人口減少である。
1500万人ならともかく、100万人など国の形を維持できるはずもない。
ドイツの30年戦争は、最後にして最大の宗教戦争、人類史上最も破壊的な紛争といわれている。
この30年戦争では、ドイツの人口の20%以上の死者を出した。
・・・・あの・・・
たったの20%?
東京なんて、戦争してないのに30年で人口を50%減らそうとしているのだ。
戦争より、東京の少子化のほうが、圧倒的に被害がでかい。
ちなみに、第二次世界大戦での日本の死者数は310万人である。
当時の日本の人口は7200万人だから、ざっくり人口の5%である。
あの悲劇を二度と繰り返してはならない!
などとマスメディアは煽るが、
人口減だけでいったら、東京の少子化のほうがダメージはでかい。
太平洋戦争の戦死者は、たったの310万人である。
東京は、人口が1400万人だから、今後30年で700万人が消える。
太平洋戦争犠牲者の倍以上の人間が消える。
こちらも、まぁまぁな悲劇である。
人類史において、このような異常事態は発生したことがない。
この少子化は、人類未曾有の危機である。
(の割には、マスメディアとか国に危機感はないように思える)
この後どうなるのか、予想がつかない。
少子化 さしあたっての影響
それでも、リアルに人口が減っていくのは、30年後とか長期の話である。
それより前に発生しそうな、少子化の影響が、こちら。
人口の無視できない割合が、「国がどうとか、民がどうとか、後のことなど知ったことか」と考えだすことだ。
子供をもたない人が、うっすらと無敵の人になる。
なにもかも、どうとでもなれと、やけっぱち精神をもつようになる。
キングダムにでてくる、悼襄王がたくさんいる世界になる。
悼襄王は、趙国の王である。
趙という大国の王でありながら、「国がどうとか、民がどうとか、後のことなど知ったことか」と言ってしまう、めちゃくちゃな暗君である。
まともに政治をしている様子はなく、ハーレム風呂で、ずっと快楽にふけっている。
ただ、この言葉は、一国の王のセリフだからインパクトがあるのであって、そこらへんの一般人が、「国がどうとか、民がどうとか、後のことなど知ったことか」といっても、
まぁ、そうだよね、、、となる。
一般人が、国の将来に興味をなくすことは、別に責められたことではない。
一般人が、二次元の世界で、えんえんとハーレムに浸っていても、別に責められたことではない。
むしろ、将来も未来もないのに、犯罪もせず、独身のさびしさを紛らわすために、えろげーでシコシコやってるのは、称賛すべきことである。
もうすでに、日本の男性は2人に1人は子供をもたない状況である。
子供のいない人が未来に興味をなくすのは、常識的に考えて当然だ。
少子化が進めば進むほど、未来に興味をなくす人が増加する。
つまり、悼襄王のような人間が世の中に大量にあふれるわけである。
少子化により高齢者の割合が増加する。
高齢者は老い先短い、残り寿命が少ない、未来がない。
すでに、日本人の平均年齢は48歳である。
びっくりするほど、No未来!
48歳の子供のいない、おっさん、おばさんが「国がどうとか、民がどうとか、後のことなど知ったことか」となるのは、これはもう仕方がないことだ。
仕方のないことなんだけど・・・・
将来のことを考えた政策は、支持を集めにくくなる。
・近くの山に太陽光パネルが大量廃棄されていたとしても、見て見ぬふりをする
・耕作放棄地は、適切に維持管理しないと荒地になってしまう。だが、維持管理に払うカネはないから、荒地になっても仕方がない。
・移民政策。後々、禍根を残すことは予想されるが、目先の人手不足を解消するために、ガンガン移民を増やす。
・社会保障費は、一度増やすと、減らせない。将来の負担が大きくなりすぎるが、後のことなど知ったことではない。
・地下水を汚染する、半導体の工場だって大量に誘致しちゃう。
とにかく、目先の利益になることが優先され、将来のことを考える人が少数派になる。
日本人の平均年齢は48歳だ。
つまり、平均年齢の日本人は、30年たてば78歳になり、ほとんど死んでいる。
これでは、30年後の未来のために、今なにかを負担する人は少数派になってしまう。
悪循環
世の中には悪循環というものがある。
ひとたび、悪いことが発生すると、その結果がまた悪いことを呼び込むという構図である。
カンボジア虐殺
①ベトナム戦争のとばっちりでアメリカに介入され、カンボジアにアメリカの傀儡政権がつくられる
②腐敗した傀儡政権が人民を搾取する
③共産主義の政党クメールルージュが立ち上がって、傀儡政権を打倒する。
この共産主義のトップの英雄が、ポルポトであった。
ポルポトの思想は、みんなで農業だけやってれば、きっと幸せになれる!というもので、反対する人を次々に虐殺していった。最終的には人口の3分の1が殺されるという、大虐殺が発生した。
④最終的には、ベトナムと戦争になって、カンボジアはベトナム軍に占領されてしまう。
戦争は戦争を呼ぶのである。
ルワンダ虐殺
①ベルギーが、植民地であったルワンダの支配を容易にするために、少数のツチ族を社会の上部に配置し、多数のフツ族を社会の下部に配置して、支配をした。
②ルワンダが、独立して選挙をやると、多数のフツ族が政権を握ることになる。そうすると、かつての支配者だったツチ族に対する迫害がはじまった。ツチ族は国を追われることになった。
③国を追われたツチ族が国外で力をつけ、ルワンダに軍事攻撃するようになる。
④ツチ族の攻撃に対して危機感をいだいたフツ族は、国内のツチ族を虐殺しだした。このルワンダ大虐殺で100万人近いツチ族がナタで虐殺された。
⑤最終的には、虐殺に夢中になりすぎたフツ族を国外からきたツチ族が打ち破る形で決着
これもまた、争いが争いを呼ぶ悪循環であった。
アメリカの黒人
①アメリカの黒人は奴隷として差別されてきた。
②奴隷から解放されても、教育がない、カネがない、だからよい仕事に就けない。そして、子供によい教育を与えることができない。
③子供も、教育がない、カネがない、だからよい仕事に就けない。そして、子供によい教育を与えることができない。
④これをずっと繰り返した結果、アメリカの黒人は、いまだに貧しいままである。
教育がない、カネがない、よい仕事に就けない、だから子供によい教育を与えることができない。
このループは、貧困の連鎖として知られている
これもまた、悪循環の一種。
さて、日本はどうか?
日本でも、少子化を起点とした悪循環が発生しそうである。
①少子化が進む
②少子化により、子供をもたない人が増加する。子供がいない人は長期的な視点で行動することをやめる。未来がないので、未来のために余計な努力をしない。やる気を失う。熱心に仕事をする理由がない。
③国民にやる気がないので、日本の企業は国際競争力を失う。日本国全体に活力がなくなり、カネを稼ぐことができなくなる。
日本は、食料やエネルギーの大半を輸入しているので、国際競争力を失うことは、物価上昇につながる。
徐々に苦しくなる生活は、若い人の希望を奪って、さらなる少子化を進める。
④アメリカからの食料・エネルギー援助をあてにするようになる。だが、アメリカより手厚い社会保障を維持したまま、食料・エネルギーを支援することにアメリカ人は納得するはずもない。
社会保障は打ち切られ、路上にはホームレスになった老人たちがあふれ、死体がそこかしこに転がるようになる。
結論
少子化そのものより、少子化がもたらす、国民の無気力化のほうが怖い。
子供がおらず、かつ高齢化した日本人は、うっすらと無敵の人になる。
悼襄王がたくさんいる世界になる。
暗い……あまりにも…