20年前の石油価格予想
2002年における石油価格予想
ネット上で興味深い記事を見つけた。
2004年に、2050年までの世界の石油エネルギー需要を予測する研究が発表されている。
(論文執筆時点では、2002年だった模様)
研究を行ったのは電力中央研究所である。
電力中央研究所とは、エネルギーに関する研究を行っている、国内トップクラスの研究機関である。
一般財団法人だが、収入の大半が電力会社からの給付金であり、実質的に国の機関のようなものである。
これが、日本トップレベルの研究機関が出した、石油価格の予想である。
(Linkはこちら)
https://criepi.denken.or.jp/intro/nenpo/2004/04kiban3.pdf
非常に貴重なデータである。
さて、予想はあたっているのでしょうか!?
2002年の予想と現実の比較
こちらが、その結果である。
まったく当たってない。
予想では、
・2002年から2010年にかけて、原油価格は低下
・2010年には、原油価格は20ドルになり、そこから徐々に上昇していく
・2025年には、原油価格は23.6ドルまで上昇
・2050年に、36.8ドルまで上昇
一方で、現実の世界はというと、
・2002年から、原油価格は急上昇
・2008年に133ドルまで上昇
・その後、リーマンショックにより40ドルを割るくらいまで急落
・すぐに復活し、2010年は80ドル程度に戻す
・2015年ごろまで100ドル前後で安定
・2015年には米国のシェールガス革命により、40ドルを割る価格まで急落
・2016年を底にして、再び上昇していくものの、
・2020年のコロナ禍で20ドルを割る水準まで急落
・2022年には100ドルを上回る水準まで回復して、
・2024年6月現在は73ドルになっている。
予想にたいして、現実の原油価格は、しっちゃかめっちゃかに乱高下している。
特に、急落が多い
(直近の20年間で、①リーマンショック、②シェールガス革命、③コロナ禍 の3回)
とはいえ、全体的に、電中研の予想より原油価格は、ずいぶんと高めに推移している。
無理やりだが、2000年から2022年までの実際のWTI 原油価格の近似線を引くと2025年の原油価格は80ドル、2050年の原油価格は120ドル弱になる。
だが、実際には、こうはならないだろう。
なぜなら、脱炭酸の動きがあるからだ。
各国による炭素税など、CO2排出量削減のためのコストが乗っかるだろう。
結果、原油価格はより上昇するだろう。
だから実際には、指数関数的に増加すると仮定して、原油価格は2050年には180ドル程度になっているのだろうか?
いや、実際には、もっと上昇していても不思議ではない。
考察
2002年の原油価格予想からいえることは、
国内トップクラスの研究機関による予想と、現実は全然ちがったということ。
少なくとも、2002年の時点では6年後に原油価格が133ドルにまで上昇して、その後、急落することなど予想もしてなかっただろう。
今後の原油価格は、脱炭酸という、ある種の宗教的な執念・義務感によりエネルギー価格の高騰は避けられないと考える。もちろん、世間が脱炭素に飽きてしまう可能性もあるが、実際に地球の気温が上昇し続けるため、脱炭素の動きはなくならないだろう。
原油という資源は、減ることはあっても増えることはない。
やはり、原油価格は予想を上回って上昇する気がしてならない。
特に、2002年の予想では、2025年の原油価格は23.6ドルだったことに着目すべき。現実(2024年の水準)は、その3倍以上である。
原油価格において、予想をはるかに上回る高騰があっても不思議ではない。
実際に20年前の研究を確認すると、予想をはるかに上回る高騰が実際に起きたことがわかる。
ここでは、あえて大胆に2050年の原油価格を予想してみよう。
2000年から2022年までのWTIの実績を眺めながら、脱炭素で高めに原油価格が推移することを考慮した結果、
2050年の原油価格は350ドル程度になると予想する。
結論
2050年の原油価格は、350ドル/バレル