NO.2の育て方⑰部下の日々の仕事を見て、感謝し、評価する
毎日の仕事が滞りなく当たり前に進んでいる、このことを毎日意識している人は案外少ないものです。NO.2は社長の補佐役にして、現場の指揮官でもありますから、部下の日々の仕事ぶりをつぶさに観察することも大事な仕事です。
■当たり前を当たり前にやることは難しい
トラブルが発生してはじめて課題を意識するような会社では日々の運営が博打みたいなものです。またその課題対策も多くは対症療法のもぐら叩きです。
今日は何ごともなく平穏な一日だったのはなぜなのか。仕組みが健全に回っているからなのか、イレギュラーなことがなかったからなのか、たまたま運がよかったのか。こうした目線で毎日を見ないといけません。
何ごとも問題なくことが運ぶことは本来感謝し、評価しないといけないことです。当たり前を当たり前に行うということは実は大変難しいことだからです。
社員が成長する、業績が良くなるというのは先ずは当たり前のことができることを前提にしています。
だからこそ順調な時こそ、気を引き締めないといけませんし、当たり前を毎日愚直に行っている部下を褒め、感謝しないといけないです。
■社長が社員全員の評価をする権限を握りしめても、正当な評価はできない
多くの会社では半年ごと、一年ごとなどに勤務評価をする機会があるのが通常ですが、査定時期の時だけ部下の仕事ぶりを無理やり思い起こして、直近の出来事を中心に評価をするようでは、日々頑張っている部下も浮かばれません。
会社の規模にもよりますが、社長が現場の社員の働きぶりをしっかり見ていることはほぼないと思った方がよいです。見ていても表面的なことばかりですし、評価は社長との会話の量が決め手かもしれません。彼はいつも気持ちいい挨拶をしてくれる、一時的に大きな売上を作ってくれた、例えばそんなことで評価が決まってしまうこともあります。
そもそも人間というものは良い点よりも悪い点をあら捜しするのが習性なので、評価が正当なものでないことの方が多いのが現実です。
昇給や昇格、賞与の査定が社長の気持ち次第で決まってしまうのであれば、毎日こつこつと真面目に働くことが誰しも馬鹿らしくなるでしょう。
NO.2は自らはもちろん部課長、リーダーなどの管理職を率いて、社員の日々の仕事ぶりを把握し、定期に査定の基礎情報を整理しておき、評価時に最終判断者である社長に上申するだけの準備をしていなければなりません。
■NO.2は目配り、気配り、心配りも仕事
部下の日々の仕事をきちんと見る理由は、評価への下準備の目的もありますが、日常に潜むヒヤリハットの発見やコミュニケーションの目的もあります。
NO.2をしていた私自身も忘れっぽい性格なので、メモ魔に徹していました。評価に関しては心の中で閻魔帳と呼ぶ備忘録をつけ、課題と感じる出来事もノートに書き留めていました。そして、何よりも社員に対しては「いつもあなたのことを気にかけてるよ」という気持ちで接するようにしていました。
誰しも、自分のことを正当に扱って欲しい、評価して欲しいと思うものです。もちろん自己評価が高すぎて現実とのギャップに不満を抱く人も中にはいるでしょうが、そうした人材も含めて、マネジメントすることが人の上に立つ人間の責務です。
立派な計画やスキーム、戦術を考えることだけがNO.2の仕事ではありません。人の心を理解し、適切にケアし、時には厳しく接することも必要です。
NO.2が目指すものは盤石な基礎作りと先見性です。事実をあるがまま見て、押さえるべきポイントを外さず、可能性を見出し、どうしたら実現できるのかを考え続けなければなりません。これは日頃多忙にしている社長にはできないことでもあるかもしれません。
そのためには毎日のなんでもない風景の中に良いこと、検討することを見つけ、考える、行動することが肝要です。
そんな暇ないと思う人は思考停止です。意識するだけで見え方が違ってきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。