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「本当に大切な話は懇親会で聞ける」の意味するところ

「飲み会で仕事をもらえるという話があるのですが……」

東京都中小企業診断士協会の秋大会内で開催される「企業内診断士交流会」。昨年まで2年間、運営に関わってきたイベントですが、今年は幹事を卒業し、気楽に一観客の立場で参加していました。

「~パラレルワーク時代到来!~1.5時間でスッキリ!診断士における副業・複業のリアル」をテーマに、多彩な活躍を見せている方々によるパネルディスカッションが行われました。冒頭のフレーズは、モデレーターの人が、パネラーのみなさんにぶつけた質問です。思わず、椅子からずり落ちそうになりました(笑)

「本当に大切な話は講義の後の懇親会で聞ける」と僕は言い続けてきました、確かに。

賛同してくれる仲間もたくさんいます。中小企業診断士協会の公式文書「企業内診断士活動の先進事例集」の11ページにも、このプレーズは載っています。

しかし、言葉の意味が部分的に切り取られ、一人歩きをしてしまっているんだなあ、と思ったのでした。

■飲み会で仕事がもらえるのか?

冒頭の質問に対して、パネラーの方は全員「ノー」と答えていました。僕は、飲み会の場で仕事を振ってもらったことは一度もないとまではいいませんが、ほとんどありません。仕事のお誘いをいただいたのも、懇親会の席を含め、研究会や仕事の場でも何度も顔を合わせているよく知っている先輩から、たまたま懇親会の席で声をかけていただいただけです。みなさんが「ノー」と答えたのは、納得できました。

そこで、質疑応答の時間、僕から次のような質問をしてみました。

「普段はどのくらいの頻度で懇親会に出ますか?」
この問いへの回答は、一人を除きかなりの頻度で参加しているとのことでした。「新人の頃は、ほぼ100%」と答えた方もいました。

つまり、「仕事がもらえるから」飲み会に参加する訳ではないのですよ、みなさん。

■懇親会で聞ける「本当に大切な話」

僕が言ってきたのは、「本当に大切な話は『講義の後の』懇親会で聞ける」です。『講義の後』が一つのポイントなのです。

研究会などで講義を聴いて、知識やスキルをブラッシュアップするのはむろん必要なことです。ただ、講義を聴いただけでは知識が増えるだけ。診断士として、その知識が実践で使えるようにしなくてはなりません。講義はフォーマルなもの、建前が入ります。インフォーマルな場で、生々しくより具体性のある話を聴けた方が、実践力がつくはずです。

また講師の話だけでなく、同じ講義を聴いたもの同士で意見交換をすることも大切です。多様な視点をもつことで、自分の中の選択肢を増やせます。それが実践の場で活きてくるのです。

そしてこうしたインフォーマルコミュニケーションを行うための場の中で、懇親会が一番簡単に参入できる機会だと思うのです。

■「本当に大切な話」を聴くより大事なこと

さらに言うと、聴くより大事なことがあります。それは自分から発信することです。他人の話を聞かずに自分の話ばかりするのはだめです。それはウザいと思われるだけですから。ちゃんと話を聞いて、それを踏まえて、自分がどんな人間で、何ができて、これから何をしていきたいのか、周囲の人に知ってもらえる場になります。こうして、人となりを知ってもらうことが「仕事がもらえる」につながってくるわけです。

「アピールするのは苦手だ」と思っている人も多いようです。しかし、診断士にとっての商品は「自分」です。商品をプロモーションしないわけにはいかないでしょう。支援先から販売促進の相談を受けたら、プロモーションについて必ず触れているはずです。支援先にアドバイスしていることを自分ではしないのか、という話です。

苦手だと思う気分はわかります。その方が日本人らしいといえます。ですから「酒場の雰囲気」の力を借りて、少しずつでもいいのアピールする機会を増やしていけばいいと思います。

懇親会以外にも、インフォーマルコミュニケーションを行える場はありますし、自分をアピールする場もあります。先ほど、「普段はどのくらいの頻度で懇親会に出ますか?」との問いに、「一人を除き」かなりの頻度で参加していると答えた、と書きましたが、その除いた一人は、懇親会にはほとんど出ていないのに、診断士として大活躍されています。懇親会が唯一無二の場ではない証です。

ただ、懇親会が一番手っ取り早いのです。敷居が低いといってもいい。懇親会を避け、より敷居の高い他のインフォーマルコミュニケーションを行える場を探すこともせず、「仕事が来ない」と言っても何も変わりません。

チャンスは人に乗ってやってきます。どこで、どうやって、人とつながるか。まずはそれを考えることです。その答えが見つからないなら、「まずは懇親会に出てみましょう」とお勧めします、やっぱり。

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