診断士2次試験は「国語現代文」の試験である
以前、宮﨑さんが「診断士の二次試験は国語の試験ではない」という趣旨で記事を書かれていました。
記事を読んで、なるほどと納得するところも多くありました。ただそれでも私は、中小企業診断士試験の二次試験は「国語の試験」もっと言えば「国語現代文の試験」の色彩は強い、と考えています。もちろん、受験国語とは違うので、最終的に宮﨑さんが書いていることを否定するつもりはないのですが、しかし、タイトルだけ見て「国語の試験ではない」と思ってしまう危険性は指摘しておきたいと思います。
■「小論文」ではなく「国語」の試験である
私が強調したい第一のこれです。「あなたならどのような助言をするか」というような問があると、つい自分の考えを書いてしまいたくなります。他人とは違う、他人と差をつけられるような独自の意見を述べたいとの誘惑に駆られても不思議ではありません。
現実の場面では、独自の意見を述べることも大切なことも多々あると思います。しかし、診断士試験は正解があるはずです。一定の採点基準に基づいて採点ができるようになっていなければ点数がつけられないからです。
独自の意見を述べるのは、「小論文」です。昔、小論文にもそれなりの採点基準はありますが、それでも主観が入る余地が大きくあります。しかし、国家資格である中小企業診断士試験では、できる限り主観を排除し、客観的に採点ができなくてはいけないはずです。
私が合格した年から、申請すれば自分の点数を公表してもらえるようになりました。そこで明らかになったのは、やはり、一定の基準に従って採点されているのだ、と言うことだと思います。
与件文が与えられそれを読んで答えろ、という試験で、客観性を担保するのは与件文の中に書かれたことだけです。そう考えれば、いかに与件文に書かれたことを正確に読み取るかが、この試験の大前提となるはずです。
大学受験と同様、診断士試験でも「○○方式」「○○メソッド」が流布しています。それがダメだという気はありません。私はそうした方法のすべてについて、どのような方法なのか知りませんし、現実にそうした方法で合格した人はたくさんいるからです。ただし、どんな方法・メソッドであれ、「与件文に書かれた内容を正確に読み取る」ことを軽視するやり方はあり得ないと考えています。
■与件文に書かれていないことを答えるとは
この点に関しては、多くの人が「受験国語」に対する誤解があると思っています。少なくとも私が大学受験浪人生だった時代、本文から文章を引っ張ってきてそれを適当に並べれば正解、という問題はレベルが低いとみなされていました。逆に言えば、そういう問題は必ず取らなければいけない問題で、できたからと言って合否に関係ない(間違えると落ちる)とされていました。
与件文に直接書かれていなくても、与件文を根拠に答えを出すことはできます。単純化した例をあげると、「A,C,□,G」という流れであれば、□にはEが入るのは明白です。ここにBを入れたりXを入れたりしたら、論理的に筋が通りません。つまり、与件文に書かれていないことを解答しなくてはいけない場合も、与件文から論理的に導き出せる答えを書かなくてはいけないのです。
宮﨑さんが書かれたことで言えば、「問題本文から着かず離れず」です。この「離れず」というのが、問題本文から論理的に読み取ることを意味すると私は考えます。
■出題者の意図
あけすけに言ってしまうと、国語の入試問題とは、著者の言いたいことを読み解くのではなく、出題者がどう読み解いたかを読み解く問題です。だから、著者本人が問題に正解できないことが起きるのです。
それに比べ診断士試験は、出題者が与件文を書いているか、少なくとも設定を決めているはずです。ちゃんと与件文を読み解き、設問の意図を考えていけば、答えは導き出せるはずです。
もちろん、国語の試験と違い、一次試験で学んだ知識は知っていることが前提になるので、読んだだけではできない問題もあるでしょう。また、そんな理屈通りにすべての問題ができているとも限りません。しかし、一定の前提知識があり、与件文を正確に読み取れれば、少なくとも60点は取れるはずです。私はそう確信しています。
ちなみに、宮﨑さんが示してくれていた参考書『田村の現代文』の著者である田村秀行さんは、私の代々木時代の恩師にあたります。田村メソッド! についてはかなり身につけている自信があります。今回の内容も実際、代々木時代に学んだことの応用に過ぎません。