CIRCUS & CIRCUS 2019 甲斐バンド45Anniversary Tour
■きんぽうげ
「ドラムからの入りじゃないんだ。いきなりGuitarで始まるの。初期のスタイルなんだよ」
オープニング間際、隣に立っていた男性が連れにそう説明していた。「きんぽうげ」について熱く語っていたのである。
甲斐バンドのオープニングは「きんぽうげ」。そういうイメージが強く残っている。この曲が発表されてから1980年までは、いつも「きんぽうげ」で始まっていた。
とはいえそれをライブアルバムやラジオでしか僕は知らない。ライブに参戦するようになったときは、別な曲になっていた。つまり僕もオープニングで「きんぽうげ」を聴くのは初めてだったのだ。
セットリストは『破れたハートを売り物に』以前の曲で占められていた。懐かしい、との想いはもちろんあった。でも同時に、新鮮でもあったのだ。僕がまだライブに参戦する前の甲斐バンド。そんなテイストも垣間見せてくれた。
■翼あるもの
アンコール前のラストは「翼あるもの」だった。今回は「氷のくちびる~ポップコーンをほおばって~翼あるもの」という、僕がライブに行き始めた頃は、ド定番だった流れでいったん締めてくれた。
2年前の『Best of Rock Set「かりそめのスウィング」』に、翼あるものは入っていなかった。笑福亭鶴瓶師匠は怒ったらしい。
「お前、翼あるものにどんだけ、励まされ、助けられたと思ってるんだ」、と。
師匠の気分が少しわかる気がする。この40年、僕もどれだけこの曲に励まされてきたか。いや、いまも励まされている。
疲れ果てた 身体をだまし ただ 鳥のように飛ぶさ
疲れた、といえば、松藤さんがほぼ全曲、ドラムを叩いていた。ドラムは全身運動だから、相当疲れたはずです、10年前
「ドラムを叩かずにネットで叩かれた」
と甲斐さんに言われていたけど(笑) 「甲斐バンドのドラマーは松藤英男だ」というところを見せつけてくれたと思う。
■ライブハウスツアー
「甲斐バンド初のライブハウスツアー」
今回のTourはそういわれていたけれど、最初、意味がわからなかった。僕にとってライブハウスとは、ルイードとかエッグマンとか渋谷ジァン・ジァンのイメージになる。大会場があるわけではないけど、ライブハウスというには箱が大きいんじゃないの、と感じていた。
結局、ライブハウスツアーの意味は「ほぼオールスタンディングスタイル」のことだったらしい。本気で疲れた(苦笑) 普段から、ライブが始まれば総立ちになるのはお約束ではあるけど、最近は始まるまでは座っているし、途中のMCのコーナーでは
「お前ら、無理するな。座れ」
と甲斐さんに言われていた。
今回は1時間前から終演まで立ちっぱなし。オーディエンスが高齢化している中、チャレンジングだなあ、と思った。
「クラブバンドあがり」
一時期、甲斐さんがよく口にしていた言葉だ。もしかしたら今回のTour、ある種の原点回帰だったのかもしれない。自分たちが成長してきた過程をもう一度なぞろうとしているのかもしれない。
そう思ったのは、10月26日から、今度は「ホールツアー」とやると聞いたからです。
45周年が、こんな小さなハコのTourで終わったらさみしいな、と思っていたのだけど、ちゃんとその先を用意していくていた。
ホールツアーのオーラスはNHKホール。NHKホールで初めてライブを敢行した日本のロックバンドは甲斐バンド。その会場をオーラスに持ってきたのは、何か意味を持たせているに違いない。
ということで、NHKホールも参戦予定。
甲斐さんからは
「みんなライブハウスツアーで見せたスタンディングの根性をホールでも見せてくれ!切に望む!」
とメッセージをもらっているので(笑)
と言っていたら、どうもそのあとにも、なにか仕掛けがあるらしい。自分たちの過去をネタ(素材)にしながら、チャレンジと成長を続けている甲斐バンド。まずは50周年まで、追いかけ続けようと思っている。
■セットリスト
このアルバム、まんまの曲順です。
16年の「BIG GIG AGAIN」で「BIG GIG」のセットリストを再現する、つまりセットリストがモロバレのライブをやって以来、その緊張感の魅力にとりつかれてしまったらしい。
M1 きんぽうげ
M2 ジャンキーズ・ロックンロール
M3 吟遊詩人の唄
M4 東京の一夜
M5 港からやってきた女
M6 裏切りの街角
M7 シネマ・クラブ
M8 テレフォン・ノイローゼ
M9 ビューティフル・エネルギー
M10 安奈
M11 悪いうわさ~ダニーボーイに耳をふさいで
M12 氷のくちびる
M13 ポップコーンをほおばって
M14 翼あるもの
M15 HERO(ヒーローになる時、それは今)
M16 漂泊者(アウトロー)
M17 最後の夜汽車
M18 バス通り
秋から始まるホールツアー「HEROES 2019」のスケジュールはこちらから。
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