経済学が教えてくれたこと
前回、宮崎さんが経済学の知見を使って見事な解説をしてくれていました。
僕は経済学士ですが経済学に苦手意識が強く、全然自信がありません。宮﨑さんの解説を読みながら「すげーなあ。俺にはできない。」と思っていました。
とはいえ、経済学を学んで全く役に立たなかったわけでもありません。以前、
を書いたことがありますが、経済学も人生に大切なことを教えてくれると思っています。
経済学は範囲が広いので、挙げていくと切りがないのですが、最大の学びは「予算制約線」の考え方です。
■手持ちのカードで勝負する
予算制約線の例で良く出てくるのは「いま2,000円もっています。1本100円の焼き鳥、1本200円のビールをどういう組み合わせで購入しますか」的なパターンです。これを簡単な僕でもわかる数式で表せば
100円×焼き鳥の本数(x)+200円×ビールの本数(y)=2,000円
この場合のxとyがいくつになるかを考えればいいわけです。組み合わせは11通りあります。
焼き鳥20本 ビール0本
焼き鳥18本 ビール1本
焼き鳥16本 ビール2本
焼き鳥14本 ビール3本
焼き鳥12本 ビール4本
焼き鳥10本 ビール5本
焼き鳥 8本 ビール6本
焼き鳥 6本 ビール7本
焼き鳥 4本 ビール8本
焼き鳥 2本 ビール9本
焼き鳥 0本 ビール10本
延々と書きましたが、どういう組み合わせであっても、総額は2,000円です。とりあえず、いま手元にあるもので何ができるか考えるしかありません。それが嫌なら、いま目の前のことはいったん置いて、2,000円を3,000円なり5,000円なりに増やす努力をするしかないわけです。
ただ、現実の世界では、3,000円なり5,000円なりに増やす時間的余裕を与えてもらえることは希です。よく「準備不足だから次の機会に」と言って先延ばしをする人がいます、昔の僕のように。しかし、経験から言えば、先延ばしをして先の機会でもまだ、準備不足であることが多いものです。まずは、手持ちのカードで勝負するのが大事だと思います。
■ない袖は振れない
もう一つ追加で考えておいた方がいいと思っていることがあります。
手持ちを増やす努力は一方で大事なことです。それを怠るべきではないと思ってはいます。ただ、それより先にやるべきは、いま持っているカードをどう組み合わせればよりよいパフォーマンスを出せるか、だと思います。
上のような卑近な例であっても、焼き鳥とビールの組み合わせは11通りありました。11通りの全てが、自分にとって同じ満足度と言うことはあり得ないでしょう。どこかの組み合わせが一番高い満足度になるはずです(僕で言えば「焼き鳥14本 ビール3本」くらいかと)
同じように自分の持っているものも組み合わせ方次第で、パフォーマンスは変わってくると思います。それを探る。どのように組み合わせればいいかを考える方が、無い物ねだりをするより先だと思います。ちゃんと組み合わせを考えて、それでもなお足りない物を補う努力する、と言う順番がいいのではないかと、考えています。
こうした考え方は、この本から学びました。
数学ができなくても、経済学的な考え方、モノの見方はできるし、それはとても大事だとわかります。そして、苦手だと騒ぎながらも経済学に向き合ってきた僕は、わりとあっさり、この思考型を理解できたのでした。
診断士試験の中で、経済学の位置づけがよくわからないという声を聞きます。僕も位置づけはよくわかりません。ただ、やらなきゃいけないのならきちんと向き合っておいて損はないと確信しています。