「心身一致」の謎解き 〜超相対性理論『リーダーシップの教科書』刊行記念イベント会
Takramのコンテクスト・デザイナーである渡邉康太郎さんと一緒にやっている超相対性理論の最新シリーズが公開された。
https://open.spotify.com/episode/6GNmN1AA91DDt2g73XhT3y?si=oy9gfZKoRGapkySeZh7ydg
今回は、『リーダーシップの教科書』刊行記念イベント会を兼ねた収録ということで、先日青山ブックセンターで開催された本書の著者である小日向素子さんをゲストに迎えた公開対話だった。
全3回、合計約90分。質疑応答も含めて話した内容は一切編集せず、そのままの対話をお届けする。来れなかった方も含めて、ぜひ当日の臨場感を楽しんでほしい。
当日話題になったことの1つは、「心身一致とは何か?」というテーマだ。
馬を前にした時に馬から問われるのは、「お前は本気でそれをやりたいのか?」ということだ。
たとえば、馬を向こうに連れていきたいと考えているとしよう。
しかし、馬を必死に誘導しようとしても、馬はちっとも反応してくれない、ということがよくある。
なぜか?
それは、誘導しようとしている側の心身が一致していないからだ。
確かに心では向こうに行ってほしいと思っているかもしれないが、身体所作が伴っていないからだ。たとえば、無意識のうちに腰が引けちゃっているとか、手綱を強く引っ張りすぎているとか。その辺の所作がズレていると馬は動かない。
もしくは、身体所作としてはいいのだが、心の中に雑念が入っていて、本気で向こうに誘導しようと思えていない、という可能性もある。向こうに引っ張っていくアクティビティだから仕方なく連れて行こうとするけど、別に自分はそんなに引っ張って行こうと思えない、みたいなケースだ。
いずれにせよ、馬はそういった心身のズレを敏感に読み取り、それに相応しいリアクションをしてくる。人間ならば忖度してくれるものでも、馬は無慈悲だ。
だから、僕らが馬のリアクションを目の間にした時に、初めて自分心身の一致度合いにに気付かされるのだ。
ここで考えなくてはならないのは、「心身一致とはどういう状態のことか?」ということだ。
まさにこのことは当日康太郎の投げかけで大いに盛り上がったが、「感じていることをそのままストレートに身体表現する」ということではない。
心身一致とは、自分の心や身体が何を感じているのかを正しく理解し、置かれた環境の中でその感情を表現するベストな身体所作を選択する、ということだ。
心身のありようを大切にしながら、外部環境に身体を使って正しく働きかけている状態を指す。
この辺は、当日もこれだけの議論を要したことを考えると、「心身一致」という表現ではミスリードなのかも知れない。
何がいい表現なのかパッと思い浮かばないから、みんなも良い言葉を考えてみてほしい。
本来、心身一致問題についてはもう少し言葉を尽くして語ってみたいが、今回の投稿の主旨は、「超相対性理論を聴いてね!」ということなので、ここでとどめておく。
いずれにしても、これをきっかけに自分の心身が何を感じているのか、そのありように関心を持ってほしいと思うし、それをベースに他者に働きかけていく「ナチュラル・リーダーシップ」という概念にも興味を持っていただければ嬉しい。
そして、さらに関心が持てたら、素子さんがいる札幌の牧場COASへ是非。
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