真剣勝負で生み出された良質な副産物 〜池田昌人著『仕事は1枚の表にまとめなさい。』ご恵投いただきました
真剣勝負は、良質な副産物を生み出す。
僕が人に教えるスキルを身につけたきっかけは、30代後半の時だ。
自分の倍以上のビジネス経験がある猛者たちに対して、経営について教えなくてはならない…という無茶な場を与えられたことに遡る。
とてもじゃないが僕が教えられることはない。
開き直った僕は、僕から何かを伝えることを放棄し、教えてもらうことに専念することにした。
彼ら・彼女らの経験を伺い、それをまとめて整理・構造化することでバリューを出すことに決めたのだ。
この修羅場体験は、僕を教えるスキルの本質へと導いてくれた。
教えてもらうことが、教えることにつながるのだと。
僕は、その場で教え方を体得しようとしていたわけではない。
その場に真剣に向き合い、何とかしようとしていただけだ。
しかし、そういう真剣勝負は、必ず何か良質な副産物を生み出してくれる。
副産物の獲得を目指すことはできない。
副産物などという余計なことを考えなかった者の前だけに、結果的に与えられるものなのだ。
この度、ソフトバンクCSR本部長兼ESG推進室長である池田昌人さんより『仕事は1枚の表にまとめなさい。』をご恵投いただいた。
池田さんは長らく孫さんの下で働いてきた方だ。
メディアで語られる以外の孫さんのことを僕は知らないが、孫さんの下で働く大変さは想像することができる。
たくさんの無茶振りの連続、そして朝令暮改など、胃が痛くなるような仕事の連続だったはずだ。
しかし、そういうサバイバル環境は、間違いなく良質な副産物を生み出す。
それがこの本なのだと思う。
未読ではあるが、冒頭の孫さんの言葉が印象的だ。
私たちはこの世界を理解するときに、長さ、幅、高さという3次元に、時間を掛け合わせて4次元として認識する。
しかし、4次元はとてもじゃないが複雑すぎて一度に考えることはできない。
だからこそ、凡人はその複雑さを大胆に切り落として、2次元に解像度を落として理解することが必要になるのだ。
しかし、この解像度の落ちる2次元思考を高速で何度も繰り返すことができれば…
それは時間・空間を伴った複雑な世界認識が可能になる。
池田さんには、東日本大震災の後、何かの復興イベントでお会いしただけの関係だが、その時も孫さん直下の震災支援プロジェクトで活動されていたと記憶している。
あの時からもう十数年の時は経ち、おそらくその間にも語り尽くせない修羅場体験があったことだろう。
その真剣勝負から生まれた副産物。
ありがたく頂戴します。
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