見出し画像

テクノロジー社会に生きるとはどういうことか 〜「ペット」と「野性」の狭間

農業現場にかなりAIが入ってきている。
うらほろアカデメイアのプログラムで毎回訪問しているアサヒ・アグリ・アクション社(山田文弥社長)もBASF社が提供する「ザルビオ フィールドマネージャー」というAIを導入しているらしい。

https://www.xarvio-japan.jp/

作付けする作物やその品種情報、タイムリーな気象情報、人工衛星からの画像解析データといった様々な情報をAIによって解析することで、その圃場に合った最適な管理を提案します。ザルビオ フィールドマネージャーは、圃場一つ一つにカスタマイズした効率的な栽培管理をサポートする新しいデジタルソリューションです。

同社Webサイトより

実際に使ってみると、めちゃくちゃ便利らしい。病気になりそうなタイミングも予想してくれるし、次にどんなアクションをすべきかの提案もしてくれる。オプションを加えれば加えるほど、痒いところに手が届くようになるらしい。
山田さんの農場は120haもあるので、どれだけ観察するといっても限界がある。だからこそ、このようなテクノロジーはとても意味があるのだ。

見渡す限り十勝の大地

しかし、そんな山田さんの話を聞いて、ハッとしたセリフがある。

それは、「農家に必要なことは、直観です。どれだけAIに助けられているとは言え、直観まで奪われてはなりません」ということだ。

AIはめちゃくちゃ便利だから、依存する領域が増える。そして依存した結果として、病気を防ぐことができ、想定通りの作物が取れていくと、意識が徐々にAIに向いていくことは想像できる。
しかし、それが加速していくと、「人間を補完する道具としてのAI」だったものが、「人間を指示するリーダーとしてのAI」になってしまう。
つまり、人間がペット化されていってしまうのだ。

もちろん、ペット化に抗うという方向性もあるだろう。いつまでも野性でありたい。
しかし、僕はそこに対してはちょっと悲観的だ。AIの進化が加速する時代において、人間が徐々にペット化されていくことは避けられないだろう。
僕も気づけばスマホなしでは生きられなくなっている。スマホに飼い慣らされたペットと言えなくもない。

ここから先は

712字 / 1画像

スタンダードプラン

¥1,000 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?