韓国の現役最古(?)のノンステップバスを撮る
大宇製の古いノンステップバス「BS110CN」がラスト2台に!?
韓国はもちろん、東アジアの各国は車両の代替がとても早い。
特に韓国では国の法律によって、乗合バスの車両の使用年限が12年(正しくは12年目の車検満了までと推測される)に定められており、それ以上の経年車は少なくとも乗合バスでは存在しない。
古いバスを20年も30年も使っている某島国は実はかなり異例なのである。
そんな中、私の元に大宇製の古いノンステップバスに関する情報が入ってきた。
かつては韓国全域で走っていた大宇製の「BS110CN」というノンステップバスが全国で残り2台にまで減ってしまっているというのだ。
このBS110CNはキムチや象といった愛称で親しまれ、韓国全域はもちろんのこと、台湾やベトナム、中国の上海などでも同様の顔つきの車を見ることができ、世界的な名車と言っても過言ではない車種である。
台湾などでは今もこの顔のバスを見ることができるが、やはり10年以上が経過している車両が増えていて、数を減らしているのが事実である。
そんなBS110CNが韓国では残り2台しか運行されていないという話を聞いて、信じられないという思いと同時に記録しておきたいという気持ちが起きた。韓国へ滞在する予定もあったことから、記録へ足を運ぶことにした。
・BS110CNが今も運行されている慶尚南道・金海市へ
このBS110CNの最後の2台の車両は韓国の南部、金海市で運行されている。
釜山広域市に隣接し、金海国際空港がある自治体でもあるので、市の名前を知っている人は少なくないと思う。
この時は釜山のホテル(東横イン釜山中央駅)に滞在していたので、釜山市内バスと金海軽電鉄を乗り継いで金海市へ向かう。
・最後のBS110CNが運行されている路線は金海市内バス2-1番
BS110CNは金海市内バスの2-1番という路線で運行されている。2012年式の車両らしく、これらの車両も引退の時が近づいていると思われる。
以下がネイバーマップアプリより引用した2-1番の路線図である。
金海の市街地をぐるぐると回った後、博物館駅、金海市庁駅、金海大学駅などで金海軽電鉄と接続をしながら走り、仁済大学金海キャンパスがある方の山側をぐるりと回った後、再び金海市街地方面へ戻るという路線である。
この路線で注目すべきは金海市街地の複雑な運行ルートである。
上記のルートを見るとわかるように、金海市街地を東西に行ったり来たりをする複雑なルートをとっている。
このルートをうまく活用すれば同じバスを何回も撮影できるのではないか…?と思い、実践してみることにした。
この日は運がよく、2台のBS110CNが続行して運行をしていたので、2台とも効率よく撮影することができた。
・金海市内でBS110CNを撮る
まずは金海軽電鉄を首露王陵駅という駅で下車。近くのイムホ中学校というバス停付近にある交差点で先にやってきたBS110CNの7170号車を撮る。
その後、西側でターンしてきて戻ってきた同じ車をイムホ小学校→イーマート新世界百貨店の間の交差点でも撮影する。
最後に金海旅客ターミナル(市外バスターミナル)の裏手にある車庫地に入っていく所も撮ることができ、同一の運行で3回も撮ることができた。
続いて、もう1台の7037号車の方の撮影に移る。
サムスンアパートの先の交差点でバスは右折するので、この交差点まで走って移動してまず撮影した。
次はイムホ中学校の先にある交差点で撮ろうとしたが、徒歩移動する私が信号に引っかかってしまい間に合わず。気を取り直して次のテドンアパートの先の交差点に小走りで移動する。
最後は頑張って走り、車庫地の近くまで移動。イーマートの裏手側の交差点で撮ることに成功した。
この2台を記録するために片道1km近い距離を小走りで移動することになり、合計3km程度走ったので撮り終えた頃には汗だくであった。
良い運動にはなったと思うが、ちょっと他人にはおすすめできないかな。
・2-1番で運行されているBS110CNに実際に乗車
私自身は撮るよりは乗る側の人間なので、この後に実際に金海市内バス2-1番で運行されているBS110CNに乗車してきた。
比較的綺麗に保たれており、整備状況は悪くないと感じたが、ぎこちないオートマチックの挙動であったり、足回りの傷みが進んでいて車内に振動が行き渡る状況は経年劣化を感じざるを得ないものがあった。
また、後タイヤ上にあったであろう座席が撤去されている点も気になった。この位置の座席はタイヤハウスの上によじ登る感じになり、高齢者などには利用しづらい座席であったのは確かだと思うが…。
・締めくくり
韓国全域で最後の2台となったBS110CN、この記事を書いた2024年7月31日現在でも金海市内バス2-1番で平日週末を問わず運行されているようだ。
いつ消えるかわからない状況ではあるが、ネイバーマップの路線図には同車の現在地がわかる機能があり(7037、7170のナンバーがアプリ上のバスロケーションシステムに表示される)、運行しているかが一目でわかる。
夏休みなどに韓国のバスを楽しみたいという方がいらっしゃれば、このバスを撮りに金海市へ足を運んでみるのも楽しいかもしれない。
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