インディアンパシフィック忘れえぬ人
平成6年の秋インディアンパシフィック(オーストラリア大陸横断鉄道)に乗った。
パースからシドニーまで、赤土と石ばかりの広大な砂漠を走るから何となく人恋しくなるときがある。 一人旅の私はそんな時、ロビーカーに居て通って行く大柄なオージー達をぼんやり眺めたり片言の会話を楽しんだりしていた。皆一様に陽気で楽しい人々ばかりだったが、ある昼下がり、たぶん皆お昼寝中だったのだろう。ロビーカーにいたのは日本人三人とオーストラリア人のおばあさん一人だけだった。一編成の列車に乗りあわせた日本人