Throne and Liberty(スローン・アンド・リバティ)のレビュー
スロリバってどんなゲーム?
NCSoftとAmazonがリリースしたゲーム。
またこのゲームのタイトルは元々リネージュエターナルであり、
2011年に発表され、2017年にProject TL、2022年にはThrone and Libertyに改名という、明らかに難産であったゲームといえる。名前に関してはリネージュが蓄積した悪評を避ける為かもしれないが。
またリネージュの系譜という事で、攻城戦などのGvGが主体、つまり対人がメインのゲームとなっている。
良いところ
貴重なGvGゲーム
正直な所、現状スロリバが最も優れている点は、このゲーム自体の要素ではなく、単にGvGのゲームはとても数が少ない中での新作GvGゲームである事だと思う。
P2W(pay to win)要素が弱め
この手の人と競い合うゲームは、お金をいれる課金要素で強くなれる要素と組み合わせる事が多い。
所謂、札束で殴り合うような事が起きるのだが、スロリバに関しては課金しなければ現実的に手に入れるのが難しいのは、アーク武器と呼ばれる存在だけだ。
アーク武器自体の詳細は割愛するが、このゲームの装備をアーク武器以外の全ての装備を課金で買おうとすると、ビルドにもよるが9万もかからない。
ただし、アーク武器は単品で30万を超える物が多い。
しかもこのゲームは武器を2つ装備するので、アーク武器を2本というビルドもある。
これのどこがP2Wじゃないんだと言う人も居ると思うが、P2Wタイトルでは億の課金がザラにいるというゲームも珍しくない。
またアーク武器が不要なビルドや、一応コツコツとプレイしていれば無課金でもいつかは手に入るようには設計されている。
それが手に入る頃にアーク武器が現役かは疑問が残るが……
悪いところ
開発・運営の能力が低い
一体何時の時代のゲームなんだ?というぐらいゲームシステムや運営体制が古い。
ゲームシステムやUI操作はとても不便で、簡単にバグるしスタックもする。
このゲームの一番の目玉であるはずの攻城戦ですら不完全としか言いようがない。
公式のお知らせは遅い上に間違いが多く、BOTやグリッチの多くが野放しだ。
正直な所、ゲームの完成度、運営能力からしてクローズドβテストぐらいの段階にあると思う。
PvP以外のコンテンツが虚無
コンテンツがPvPに偏りすぎていて、少なくとも日本人受けはしないと思う。
PvEに関してはこのゲームはあまりスタイリッシュな感じではないので、モサモサとした戦闘をする事になる。
生活系コンテンツは釣りや調理などがあるが、コンテンツと呼んで良いのか疑問が残るレベルで中身が無い。
現状だと大手ギルドに入る等してGvGを楽しめない場合、遊べるコンテンツが殆どないように思える。
拘束時間が重すぎる
所謂、キャラを育てる為の日課的な物がまず重い。
日課コンテンツを羅列するだけで凄い行数になるので省略するが、時間に換算すると一時間は超えると覚悟しておいた方が良い。
日課が一時間ちょいなら軽いと思った人もいるかも知れないが、このゲームはGvGゲームで対人スケジュールが別途に山程ある。
具体的には、
13時、16時、20時、22時、1時に紛争が最低でも毎日あり、+αで日によっては占領戦、攻城戦、税金輸送などがある。
NCSoftとAmazonによるシステムのちぐはぐ感
そもそもNCSoftは数多くのP2Wのゲームをリリースしている。
NCSoft=億の金額をいれるような重課金ゲームという認識の人も多いだろう。
今作も元々リネージュエターナルとして開発していた経歴もあり、随所にP2W要素を入れる事が可能なシステムが垣間見える。
例えば復活と対人で死亡した際の神官でのデバフ解除だ。
現在デスペナは実質無いに等しいが、元々デスペナ無しを想定していたのであれば、デバフや神官などのシステム自体が不要で、現状ではプレイフィールの悪化とシステム的な負荷にしか繋がっていない。
おそらく本来ここには何か重いコストを支払う予定だったのだろう。
従来の規模のP2Wではなくなった事は喜ばしいとは思うが、P2Wゲームの設計のまま、一時的にそれらの要素を止めているような状態の為、システムとしてちぐはぐ感が強く残る。
また間接的に他の場所にも影響が出てしまっている問題もある。
目玉のGvGコンテンツの多くは戦線への復帰も短時間で済むので、そこにデスペナ無しが相まって、敵勢力を倒したり削ったり、あるいは殲滅まで至ったとしても、すぐに復帰して再突入が出来るというのは、ゲームルールとして大きな欠陥だと思う。
グリッチによるゲームバランスの崩壊
端的に言うとGvGというメインコンテンツのバランスが、ユーザーの善意に依存している。
どういう事かというと、このゲームにはシステム面の穴で同盟外同盟(メガアライアンス)という物が存在する。
本来1ギルド70人まで、そして4ギルドまで同盟を組む事が出来るので、一勢力は最大280人までとなっているのだが、システムを悪用する事で実質的にそれ以上の同盟を組むグリッチ行為が出来る。
(※当然だがやり方は記載しないのであしからず)
仮にシステム面の修正が入ったとしても、お互いに別の角度から同時に入るなどで連携はとれてしまうので、ユーザーの善意が無ければゲームルールから破壊されてしまう状態かつ、多分根本的な修正は不可能だと思う。
晒し行為になってしまうので具体的な名前は出さないが、実際にやられた経験は現在進行系で山程ある。
サーバーによっては堂々と20ギルド以上の連合が生まれるなど根本的にゲームシステムが変わってしまっているケースもあるようだ。
また攻城戦でもグリッチが発覚していたが、公式の対応はまさかのグリッチをSNSで公開してユーザー側で対策してねという内容だった。
当然だが多くのギルドがグリッチ練習に励んでいて、実戦でも行われた。
その他にも通常プレイでは死なないようなレベルでHPを回復するグリッチなども存在している。
総評
はっきり言って評価はかなり低い。
オススメするとしたら、GvGゲームを触った事がないので触ってみたい人、GvGゲームを愛してやまない人に限定されると思う。
また全般的にゲーム側から、個人の働きを正しく評価して、何かしらの報酬を与える仕組みが必要なように思える。
これはユーザー満足度の問題でもあり、ゲーム内の勢力問題にも繋がる。
個人スコアとして一応キルorアシストで討伐スコア的なものが蓄積されるようになっているが、このスコアはダメージだけを見ているので、タンクやヒーラー、バッファー、デバッファー等のダメージ以外での貢献が全く評価されない仕組みになっている。
また一位には特別なスキルが付与されるが、それ以外には名声的な側面しかない。
そして現状GvGコンテンツでは勝者以外には旨味がなく、グリッチによって実質的な人数制限も突破してしまっているので、ドシドシ勝ち馬に乗る行為が利益だけで言えば最適解になっている。
これは一勢力だけがどんどん肥大化して行く事に繋がるので、ゲームとして非常に宜しくない。
結局のところ、280人を超えた勢力を組む行為自体を封じることはどれだけ対策しても不可能だと思うので、その行為の旨味を無くすか、仮に敗北しても正常な人数の勢力に属している方が分配などの面から旨味がある状態にする事など、ユーザーの善意ではなく利益を元に対策するしか無いとは思う。
また何よりも、ユーザーの大多数はそもそも大手ギルドに所属していないので、その人達が遊べるコンテンツを用意しなければ、ゲーム自体が急速に廃れていくので、最大の急務かもしれない。