3種の"バジル"で作る香り高い"トマトソースパスタ"。
最もシンプルなトマト系のパスタソースの一つsugo di pomodoro。パスタのレパートリーを増やしたければ押さえておくに越したことのない…というよりも避けて通ることのできない、基本中の基本のトマトソースである。
このソースを使ったパスタはpasta al pomodoro(トマトのパスタ)と呼ばれるだけでなく、別名Spaghetti al Sugo(ソースのパスタ)と呼ばれる。その名前からしても最も基本で一般的なトマトソースパスタだということが伺える。
本格的なpasta al pomodoroの作り方はこちら
使う食材は非常に素朴で、トマトソースとバジルだけ。
ちなみに、我が家のトマトソースは南イタリア風の水煮トマト、ニンニク、オリーブオイルを使っただけのシンプルなトマトソースである。
さて、今回は この基本のトマトソースを旺盛に育ち盛る我が家の窓際栽培のバジルを潤沢に使用し、"3種類のバジル"で作る香り高い"トマトソースパスタ"を紹介しよう。
3種類のバジルと使い所
ここで言う"3種類のバジル"とは摘みたてのフレッシュバジル、自家製ドライバジル、そして同じく自家製のバジルオイルである。
バジルオイルについてはこちら
これらの3種のバジルの使い方は簡単だが、使い所と使い分けをきちんとする必要がある。
それぞれの良い点と気を付けるべき点は以下の通り。
フレッシュバジル : 色味は強くて彩りに良いが、長く煮込むと色が悪くなる。フレッシュハーブ特有のみずみずしい香りがあるが、長く煮込むと香りが飛んでしまいやすい。また煮込んでも形は残るので、量を入れると食感に影響が出る。
ドライバジル : 乾燥過程で香りが凝縮され非常に強いため、少量でもしっかりとした香りがつき、また煮込みにも適している。また細かいので多少の量では食感に影響が出にくい。一方で、色味は良いとは言い難く、また量が過ぎたり焼いたりすると苦味が出やすい。フレッシュバジルとはかなり香りが異なるのも注意点。
バジルオイル : 穏やかな香りを持ち他の食材との馴染みも良く、料理の土台に適している。フレッシュバジルやドライバジルと異なりバジルそのものは入っていないため料理の見た目に影響を及ぼしにくく、また液体ゆえにムラなく均等に馴染みやすい。一方で、あくまでオイルなので入れすぎるとくどくなる。
ざっとこんなものだろうか。これらを踏まえると自ずとそれぞれの使い所も決まってくる。つまり、基本的にはフレッシュバジルは仕上げ、ドライバジルは煮込み時、そしてバジルオイルはソースの土台にするのが良いだろう。
pasta al pomodoroの作り方は上記ブログ記事を見ていただくとして、ここでは"3種類のバジル"の使い所を説明しておこう。
実際の使い所
バジルオイルの使い所 その1
まず、トマトソースにはたっぷりとオイルを使う必要があるので、通常使われるオリーブオイルの代わりにバジルオイルを使用する。多めのオイルでみじん切りにしたニンニクを炒めるのだが、この際 火力は中火程度でじっくりとニンニクの香りをオイルに移していく。
強火で一気に調理するとニンニクが焦げやすいだけでなく、オイルの温度が上がりすぎて香りが飛んでしまう可能性もある。
上記リンク記事の製法で作ったバジルオイルは香りが穏やかなので他の食材の香りと反発することなく馴染ませることが可能である。つまり、丁寧にニンニクの香りを移すことで、バジルの香り、オリーブの香り、ニンニクの香りを同居させる。
ここではあくまでソースにバジルの香りを含ませるのが目的なので、強過ぎるバジルの香りはむしろ邪魔になってしまうのでこのバジルオイルが最適である。
ドライバジルの使い所
ドライバジルは煮込みに適しているので、水煮トマトを加えて煮込みを始める段階で加える。
ちなみにこちらの写真、Gabanの容れ物を使用しているが、中身は自家製のドライバジルである。
フレッシュバジルの使い所 その1
フレッシュバジルは長時間の煮込みには不向きなので、ソースが十分に煮詰まった時点で加える。さっとだけ火を入れる感じで。
バジルは火が通ると萎れて小さくなる。フレッシュバジルは局所的な味と香りのアクセントになるが、完全に生の状態のままでは体積が大き過ぎるため、一皿にあまり量を入れることができない。しかし、こうすることで ある程度の量のバジルをソースに含めることもできる。
加熱することでフレッシュバジル特有の青臭さや香りの強さも軽減し、またソースとのなじみも良くなる。
バジルは煮込み過ぎると色が悪くなるが、短時間の加熱であれば鮮やかな濃い緑色になるため、彩りとしても悪くない。
バジルオイルの使い所 その2
バジルオイルの使い所はもう一つ。
ソースの仕上げにバジルオイルをひと回しする。これはオリーブオイルでよく行われることだが、茹で上がったパスタを入れる前に乳化をしやすくなる。
この後は煮込みなどは行わないので、ここで加えたオイルに関しては 香りが飛ぶことなく、そのままソースに閉じ込めることができるのである。
フレッシュバジルの使い所 その2
フレッシュバジルの使い所の2つ目は、パスタの仕上げ。
皿に盛り付けたパスタの上に彩りとして飾りつける。これに関してはバジルの最も一般的な使い方だろう。
他の過程で加えたバジルとはまた異なる食感と彩り、そして最も強烈な風味を添える。
ちなみに、こうして使った場合は、当然ながらフレッシュバジルは実際に口に運ばない限りその効果は発揮されない。しかし、見栄えを考えれば、10枚も20枚も盛り付けるわけにはいかないのは明らかである。
バジルの効果(?)範囲に関しては
バジルオイル>ドライバジル>フレッシュバジル
となるわけである。
さておき、今回は以上のようにいくつか工夫をしてpasta al pomodoroの"バジル感"をより強めて作ってみた。是非とも試していただきたい。