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人生で一番濃密な3分間とは: 「タンゴが人生を変える瞬間」

「ミロンガの人混みの中、コルティーナ(タンゴ曲とタンゴの曲の間に流れる音楽)がフェイドアウトし、タンゴ音楽が流れた瞬間、私の人生は変わった。」多くのタンゴを踊るものが感じた瞬間。 私自身もタンゴと出会って人生が180度ピボットした。

先日実施した2つのアンケートで、タンゴの愛好者たちに「あなたにとってタンゴとは何か」を尋ねました。寄せられた言葉の数々は、単なる回答を超え、人の身体の奥底にある魂の告白とも呼べるものでした。その声に耳を傾けながら、タンゴが持つ不思議な力について考えてみたいと思います。

*2つのアンケートとは ダリエンソカップへのアンケートとタンゴダンスアンケート


1. 終わりなき探求の旅


・「未知なる至福への誘い」

タンゴ歴1-3年の50代男性が残した言葉です。彼の表現は、タンゴという芸術の持つ無限の可能性を示唆しているように思われます。

・「様々な可能性、新たな自分発見」

という40代女性の言葉も印象的でした。タンゴは踊りの技術だけでなく、自己を見つめ直す鏡となり得るのでしょう。

そしてこの探求の旅は、やがて日常の中へと溶け込んでいきます。


2. 日常という名の舞台 ミロンガ


日々の経験を重ねたミロンゲーロ、ミロンゲーラ(タンゴパーティーで踊る踊り手)たちは、タンゴをこう表現します:

  • 「生活の一部」

  • 「身体の一部」

  • 「ライフワーク」

これらの言葉からは、タンゴが特別なイベントから日常の一部へと昇華される様子が浮かび上がります。タンゴの本場でもミロンガ(タンゴパーティー)が日常の一部に溶け込んでいます。

その中で、多くのタンゴダンス愛好者が音楽との深い対話を求めています。


3. 深まる音楽との対話


アンケートで際立っていたのは、音楽への強い関心でした。多くのタンゴ愛好者が「ダリエンソの音楽に乗るコツ」を学びたいと答えています。


リズミカルで力強いダリエンソの音楽
。それは時に私たちを励まし、時に慰め、そして時に背中を押してくれるように感じられます。その音楽との対話を、より深いものにしたいという願いは、タンゴ愛好者に共通する思いと言えるでしょう。

この音楽との対話は、時として私たちの孤独にも語りかけてきます。


4. 孤独から生まれる絆


・「寂しい人たちの踊り」

ある40代のダンサーが残した、痛切な洞察。タンゴは確かに、移民たちの孤独や望郷への想いから生まれました。そして人は生まれた時は母親の中から生まれますが、人は死ぬ時は誰かの中に戻ることはできません。
その孤独を抱きしめ、昇華させ、新たな絆を紡ぎだしていく——そこにタンゴの持つ神秘的な力を見出すことができるように思います。

そして、その力は、時として人生を根本から変えてしまうほどの力を持つことがあります。


5. 生きる力を与えるもの


・「命を救ってくれたもの」

60代の女性ダンサーが残したこの言葉。この言葉が目に映った瞬間、人生の重さと凄さが腹の奥に響きました。10年以上のタンゴ歴を持つ彼女にとって、タンゴは文字通り、人生そのものだったと推察されます。

・「死なないための理由」

20代のダンサーからの衝撃的な告白。若い世代にとっても、タンゴは単なる趣味の域を超え、生きる意味そのものとなっているように見受けられます。世代を超えて、タンゴは人々の心の支えとなっているのでしょう。


6. 明日への一歩


・「生きるチカラ」

50代の女性ダンサーが残したこの言葉に、タンゴの本質が集約されているように思います。技術や表現力だけでなく、人生を前に進める力。それこそが、タンゴが私たちに与えてくれる最大の贈り物なのではないでしょうか。


今回のアンケートを通じて、改めてタンゴの持つ無限の可能性を感じることができました。これからも多くの人々が、タンゴを通じて人生の新しい扉を開いていくことでしょう。

タンゴに魅了された方々の声を聞いていると、この芸術がいかに人々の心を深く揺さぶり、人生を豊かにしているかがよくわかります。そして、その魅力は年齢や経験を超えて、すべての人に開かれているのです。

GYU


12月に開催されるダリエンソカップは様々な年齢、経験のダンサーたちが、それぞれの「タンゴ」を表現する場としてなることを意図して作られています。ご参加を心よりお待ちしております。

[ダリエンソカップ申込はこちらから]


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