大腸がない人の腹鳴
私はヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。
50年近く大腸のない人生を歩んでいますが、社会生活で困ることがいくつかあります。
その最たるもの、それは「腹鳴(ふくめい)」です。腹鳴とは、読んで字のごとくおなかが鳴ることです。
なんだそんなこと、と思われるかもしれません。痛みを伴う症状の方が重要と思われるかもしれません。
ですが、私はこれまでこの「腹鳴」に何十年も悩まされ続けました。そして多分これからもずっと。
健康な人の腹鳴の多くは、おなかがすいたときに胃のあたりから「グー」となるあの音です。誰でも鳴るし、時には微笑ましいものになります。
大腸のない私の腹鳴は、それとはまったくもって異なります。下っ腹あたりから響く「グォ~~!!」「ゴロゴロゴロゴロ!!」という雷のような爆音。
ガスや水分を落ち着かせる場である大腸がないため、小腸内でガスと水分と食べ物が激しく入り乱れ、このようなとんでもない音になります。
食べ物の内容によって小腸の動きやガスの量は多少異なりますが、基本的に何を食べても10分後くらいからこのような腹鳴が始まり、トイレで排出するまで続きます。腸は自律神経に支配されているため、意志では腹鳴を止められません。
また、私は小腸内でガスがすぐに大量発生しておなかが張るのですが、これは特殊な小腸内環境が原因と考えられます。大腸がないことで小腸内の細菌叢が健康な人とは異なるらしいです。
最近は「SIBO(シーボ):小腸内細菌増殖症」という疾患概念も出ていますが、これについてはただいま勉強中です。
この独特な腹鳴によって生じる社会生活上の支障について、次回書いてみたいと思います。