「オリーブのリーゼント」と2Fの岩ちゃん
校正後の文章
心と体、そして人との絆の健康を追求し、瀬戸内・小豆島の発展に寄与することを社是とする「小豆島ヘルシーランド株式会社」の代表を務めています。兄弟で経営しており、私は「オリーヴ兄弟(兄)」と名乗っています。普段は、オリーヴの栽培、化粧品・食品の製造、通信販売、オリーヴの研究、そして空き家を再生した「妖怪美術館」の運営に携わっています。
今回は雑誌『せとうちスタイル』の取材に同行し、小豆島各地を巡ってきました。
まち歩きの途中、オリーヴ畑の中に展示されている瀬戸内国際芸術祭の作品 No. SD25「オリーブのリーゼント」(作:清水久和 氏)に出会いました。この作品は2013年の芸術祭から展示されており、久しぶりに訪れた私は、その独特な存在感に再び心を奪われました。白いオリーヴの顔のような部分に黒いリーゼントが載ったユニークな造形で、素材はFRP(強化プラスチック)のようです。つややかで、日差しを受けてピカピカと輝いていました。作品のくぼみには、なぜかウサギのぬいぐるみが置かれており、その不思議な光景に心をくすぐられました。
この作品を愛してやまないのが、「岩ちゃん」こと石井岩男さんです。観光客が訪れると、ご自分で用意されたリーゼントのカツラを貸し出し、2人でハートを作るポーズを提案して写真を撮る方法を教えてくれます。作品が汚れていると、丁寧に拭き掃除もされるそうです。また、元醤油蔵を改装したギャラリーも公開されています。
作品がこれほど愛され続けてきた背景には、岩ちゃんの存在が大きいことが、公式の記事でも取り上げられていました。私たちが歩いていると、2階の窓から岩ちゃんが「リーゼントあるよ」と笑顔で声をかけてくれました。同行者からは「以前は、来訪者を見かけると下まで降りて来てくれていたのですが、最近は体調を崩しているようで心配していました」との話もあり、少し気がかりでした。
そこで、ギャラリーに置いてあったリーゼントのカツラを手に取り、「お借りしますね」と岩ちゃんに声をかけると、にっこりと笑顔で応じてくれました。
「オリーブのリーゼント」の前では、同行のゲストとともに「ヤンキーポーズ」をイメージして写真撮影を楽しみました。ゲストは著名な女優さんで、まさか一緒にリーゼントをかぶってくれるとは思っていなかったので驚きました。彼女はポーズも圧倒的にカッコよく、しかも「カツラのかぶり方が甘い」と、自らかぶり直してテイク2に挑むというプロ意識の高さに感動させられました。
撮影後、2人でカツラを返しに行き、「ありがとうございます」と岩ちゃんにお礼を伝えると、再び笑顔でにっこり。「また来ますね」と手を振りながら、その場を後にしました。
同行者と「岩ちゃんの笑顔が見られてよかった」と話しながら、訪れる人々と岩ちゃんの温かい交流がこれからも続き、この場所が笑顔にあふれる場であり続けてほしいと願いました。
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