【読書メモ】Progressive Capitalism(進歩的資本主義)
中流という生き方はまだ死んでいない。万人を豊かにする進歩的資本主義とは?
ノーベル経済学賞受賞経済学者、ジョセフ・E・スティグリッツの考える分断なき世界。
約250年前、アダム・スミスは「国富論」の中で、「見えざる手」に言及した。市場経済の中で個人が己の利益を追求すれば、結果として社会全体に適切な資源配分が達成される、と。だが2008年の金融危機で資本主義の化けの皮が剥がされた。資本主義は効率的でも安定しているわけではなかったのである。
昨今ユニコーンのテクノロジー企業などが大量の個人情報を市場から吸い上げ蓄積しているのは周知の事実だが、その個人情報を使い、企業は富の創造ではなく、他人からの搾取によって富を築いているという。さらに富や権力を持つものが政治に介入し、自らに有利になるよう、経済や政治のルールを書き換えている。
成長の鈍化、格差の拡大が顕在化する中、これを正す術はあるのか。
筆者は、それがこの本のタイトルである、万人を豊かにする「Progressive Capitalism」であると述べている。国富を真に生み出すものが何かを示し、経済を強化しながらその利益を公平に分配するための方策を示す。
新自由主義者には真っ向から対立する内容だが、今の米国の中道左派を理解するには悪くない1冊。
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