ベルギー旅行と深い河
先日、ロンドンからベルギーに行ってきました。
皆さん知っていましたか?ベルギーはイギリスからとても近くて
Eurostarという電車で2時間ほどで行くことができます。(ちなみにオランダもすごく近いです(ちなみにちなみにベルギーの首都ブリュッセルではフランス語が話されますが地域によってはオランダ語が一般的です。))
前日に準備していた手荷物を、当日の朝にもう一度忘れ物がないか確認していたら(偉い)本を何も持って行かないことに不安を感じました。
いつもは数十分の移動でも読むか読まないかは別にして
安心材料として本を持っていくのですが今回は迫っているテスト勉強の教材も入れていたので本は準備してませんでした。
ですが出かける五分前ほどに急に不安を感じ積ん読していた一冊をトートバックにやや乱暴に入れました。私は直前に慌てて準備をするという行為が嫌いな性質なのです。
その一冊が「深い河」でした。
最寄駅からEurostarの停車駅であるKing's cross駅までの間読めたのは一章分やせいぜい二章目の途中まででしょうか。
その時には想像よりも易しい文章と引き込まれるストーリーにすっかり引き込まれていました。
入国審査を待つ列に並びながら読み、列車が来るまでの待合室でも読みました。
こんなにも夢中になれる本に出合えたこと、そして出かける5分前に本を持ってくることを決めこの本を選んだあの時の自分に感謝しました。
無事ブリュッセルにつきホテルのチェックインを済まし
部屋へ到着しました。ヨーロッパとは思えないホテル全体と部屋の綺麗さと広さでした。朝食会場も豪華で感動しました。
行程にだいぶ余裕があったためまずは観光をせずに
一通りの荷解きをしたらベッドに横たわりました。
一つ深呼吸をしたらもちろん深い河タイムです。
本に入り込んでインドの雰囲気を感じている私と、異国のホテルのベッドに横たわっている私は紛れもなく同一人物です。
ションベン小僧、グランプラス広場の美しく繊細な建築を眺め、見たこともないくらい太ったムール貝を堪能しました。
均一的なヨーロッパの風景と熱気とカオスで溢れるインド。
二つを交互に行き来していて
どこでもドアの上で反復横跳びしているようでした。
最終日の二日目はベルギー王立美術館へ。
建築だけで満足できるような豪華な建物に数多くの西洋画が
惜しげもなく並べられていました。
私のお気に入りはバベルの塔の絵です。
もともとこのコンセプトが好きなのですが、緻密な絵にも驚きました。
細部にも人がくっきり存在していて、それぞれの生活を想像するだけで
日が暮れそうです。
購入したチケットは栞にして早速深い河に入れました。
もともと付属の栞を使っていたので二刀流です。
この場合の二刀流は、大谷選手が100+100=300 だとするならば、
100+100=150 ですが。
二枚一緒に栞の位置を変えるのはなかなか面倒でした。
帰りの電車ではもうすでに終盤に差し掛かっていました。
イギリスは島国なので近隣のヨーロッパ大陸に行くには海底トンネルを渡るのですが(青函トンネルの長いバージョン)、
ちょうど、ほんとうにちょうど私が最後の文を読み終わった瞬間(ネタバレになるので書けませんが最後の文まで素晴らしかったです。)に
列車がトンネルに入っていく音を聞きました。
外が真っ暗になり、列車内の窓側に座っていた自分の姿が窓に反射して映るのを感じました。
ボックス席で、列車の進行方向とは逆向きだったのもあって
トンネルに入ろうとしていたことに気づかずに、余計に不意打ちでした。
この劇的な出来事と相まって一分ほど余韻で真っ暗な外を見ていた後に
ようやく解説を読むことが出来ました。