日記 ご自由にお書きください
10/1(火)
在宅勤務。
午前中はオンラインでバカ長会議に出て、午後遅めの昼食を取るために家を出る。
気になっていたカレー屋さんに行った。
私以外に二組のお客さんがいたのだけど、私の入店と同タイミングで退店していきそのあとはずっと貸切だった。
本棚に置いてある本は持ち帰って読んでもいいとのことで、「読み終わったら返してね」と書いてあった。このお店を利用するすべての人が性善説に基づいて生きていますように、と思う。
カレーもとてもおいしくて、在宅勤務の日のお昼は散歩がてらここまで来るのもありだなって
帰宅後、もりもり仕事。
洗濯物が溜まっていたので2回まわし、コインランドリーに乾燥機だけかけにいく。
ふと思い立ってノートとボールペンを持っていき、机の上に置いてみた。表紙に「ご自由にお書き下さい 日記」と書く。
他人の日記が読みたすぎて、もう物理で解決するしかないかなって。
なくなりませんように、、と手を2回パンパンと合わせて願掛けをした。
10/2(水)
仕事後、後輩がインストラクターをしているピラティススタジオへ行く。
週一で通っているので姿勢と骨格が良くなってきた自覚があるのだけど、ピラティス後は毎回後輩とガッツリ飯で〆ているしそのあとコーヒーかアイス片手に散歩しているのでカロリー的には全然プラス。
また来週ねと手を振り合って解散。
帰宅前にコインランドリーに寄って日記の所在を確かめる。あった、安心。
開いてみたら日記が書き込まれていてどうしようもなく嬉しくなった。
人生を楽しくするポテンシャルがありすぎるかもしれない、私って
10/3(木)
取引先に直行。11時に新橋。
9月に中途入社した後輩を連れてご挨拶に行く。
全く喋らない後輩とへらへらぺらぺらひたすら喋る私。
後輩、相手がしてくれた1の質問に(ほぼYes/Noの)1で返すからそこでボールが落下する。
おぉもうちょっとだけ何か広げてみようか、、?と思ったりもするけれど、営業職は初めてと言っていたし最初なんてそんなものだね、喋ることもないしね
仕事後はパン屋。
着いたらキラキラママインスタグラマー・メグミさんとメグミさんキッズが来ていた。にぎやか。
メグミさんのキラキラにあてられたカオリさん(お店の奥さん)から「アニー早く来てよと思ってた、、」と言われ、正直すぎてげらげら笑った。キラキラを私で中和しようとすな
10月末に地域のイベントがあり、そこに出店するとのこと。もうシフト組んじゃったし人足りないよ!というので私売り子やりますよ〜と申し出た。
ちょっと楽しみ、仲良したちみんなパンとお酒を買いに来てください
10/4(金)
行くはずだったライブが突然億劫になったためそのまま帰宅し、最寄りでタナカさん(仮名)と合流する。
タナカさんにとても悲しくて寂しいことがあったのは知っていて、でも私が彼にできることは何もないしそもそも何もするべきではないからただいつも通り会話をする。
付き合うつもりも予定もないけど、ただ相手のことを知りたくてセックスをするということはどうやら稀らしく、まあ確かにはたから見たら関係性の破綻だとみなされるよね〜となる。
軽んじてるわけでは決してないし、搾取にならないのであればそれはそれで尊い関係性だと思いますけどね、という話をした。
もう私はその人から新しい言葉をもらうことも新しい言葉をあげることも出来ないんだという事実にぶち当たる度に、人生の不可逆性にどうしようもなく寂しくなってしまうねって
タナカさんが、な〜んでなんも言ってくれんかったかね、とぼんやり呟いていて、眉間にギュッと力を込めながらそうですねと返す。
ぽつぽつひとり言みたいに話すタナカさんの言葉を彼の腕に頭を乗せながらずっと聞く。この位置からだと表情がよく見えなくて、でも分からなくて良かったなと思った。
似たような喪失を抱えてたとしても完全に同一なんてことはないから、私にはタナカさんの寂しさのすべてはわからない。
から、わかります、いやわからないんだけど、でも私もそう思いますとだけ言う。
ものすごく長い時間話していた気がするけどおそらくそんなことはなくて、このままずっと聞いていられればなと思った。
人に話したいし聞いてほしいんだけど、でも話したくもないんだよな、なんかいいことっぽいこと言われてもおまえに何が分かんねんと思ってしまうし、と言っていて、ほ〜〜んとにそうだよな〜〜と思う。
だからそういう聞き方をしてくれてありがとうねと不意に言われ、眉間をギュッとしたままはいと答えた。
帰り、靴を履くタナカさんに待って!と言って腕を広げる。ハグ。背中を優しく撫でられて、私がパワーをもらってどうすんねんと思った。
他人の悲しみに便乗してエモーショナル気取ってんなよ、勝手に自分の人生のドラマパートの一部にしてんなよ、あくまでも彼の感情は彼のもの、私の物語ではない。自戒の念を込めて!
帰りにコインランドリーに寄る。
10/4の日記が3つ増えていて、この街に住むすべての人が幸せですようにとまたパンパンと2回手を合わせた。
現像に出していたフィルムのデータが届いた。
私の夏〜30歳ver〜、これにて完。
抱きしめるつもりが抱きしめられている秋と呼ぶにはまだ暑い夜 #tanka