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キャバクラ(前)~仙台国分町で出会った、東北美女との短い恋~
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不肖が生まれて初めてキャバクラに行ったのは、2001年(平13)秋のことでした。
出張で仙台に行ったとき、当時かの地に赴任していた大学時代の友人に連絡したところ「今ちょうど上司と飲んでいるから、来るなら来い」。訪ねていったところがキャバクラでした。
なかなか繁盛しているお店のようで、壁際にずらっと並ぶ黒服のお兄ちゃんたちに圧倒されながら店内へ入りました。
隣についてくれたのは、確か不肖の少し年下の方でした。そこでは友人と上司の話に調子を合わせていたので、彼女とゆっくり話す雰囲気ではありません。名刺を渡されましたが、変に「来てくれ」などと営業しようとしないのが気に入った。まあ、単に好みの客ではなかっただけでしょうが(笑)。
翌日は単身で乗り込みました。
黒服君に
「ごしめいは」との問われたので
「不肖です」
と答えましたが、黒服君は怪訝な表情です。
「ご氏名」ではなく「ご指名」と思い至り、彼女の名前を告げました。
長めのドレスを引きずって、ゆうべの美女が現れました。
生まれは岩手県で、最近まで仙台市内で教師をしていたとのこと。
福岡県の旧筑紫郡と京都・大阪しか知らない不肖には何とも新鮮です。
「岩手県といえば、47都道府県の中で北海道に次いで面積が広いんですよ」
と言ったところ、けげんな顔で
「それがどうかしたんですか」
うーん、知識をひけらかすのも善し悪しだ。出鼻をくじかれましたが、気にせず行こう。
会話の流れで「わがままな客も来るんじゃない?」と聞くと
「そんな人はどうにでもなる。嫌な客はほかにいる。こんなお店に来て女の子を指名して、ほとんど何も話さないまま帰るお客さんもいるのよ」
いったい何しに来るんだろう?
「もっとひどい人もいる。私たちに向かって『お前たちはいいよな。座って飲んでるだけで金もらえるんだから』と、馬鹿にするために来るお客さんも少なくないのよ」
怒りに燃えた不肖は
「それは気の毒に。同じ男として不快極まりない。弱い立場の人間を馬鹿にしに来るとは言語道断。そもそも、そんな女性たちのことが嫌いなら、店に来ずに、貴重な金と時間を別のことに使えばいいのに」
と荒れ狂いました。
そして
「その連中は、会社や家でいじめられているんだろうな」
と意見が一致。
最後は
「優しくて紳士的なお客さんが、たくさん指名してくれるといいね」
と言い残して店を出ました。
たった1時間という短いあいだに、たくさんの思い出を残してくれた「一恵」さん。
もうお嫁に行ったかな。
ただ、その源氏名だけは勘弁してほしかった。