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沖縄の怪談~観光バスガイドさんが見た、修学旅行でのハプニング~

 行く夏を惜しみ、本日も怪談を書きます。

 たしか1993年(平5)の夏。仕事の会合で沖縄に行きました。
 そのときバスガイドさんに聞いた話をお伝えします。

 そのバス会社で数年前に起きた出来事です。
 修学旅行の中学生を、戦時中に多くの方がなくなった洞くつなどに案内し、バスは営業所に戻りました。
 彼女の同僚のガイドさんが、忘れ物がないか車内を点検した。
 後ろの方の座席から、何が出てきたと思います?
 
 見つかったのは、人間の頭がい骨でした。

 営業所は騒然となりました。
 そこで中学校が泊まっている旅館に連絡。そのクラスの生徒は大広間に集められました。

 しかしです。
 そんなものが勝手に車内に転がり込むはずがない。

 先生が「持ち込んだのは誰だ」と問う。
 すると、クラスでも目立たない女子が立ち上がり
 「そういえば私、洞くつを出るとき両手に何か持っていたような気がする」
 と答えたのだそうです。

 本人はおろか、周りの観光客も、クラスメートも、先生たちも、運転手さんたちも、そしてバスガイドさん本人も。
 そこに居た100人近い人たち誰ひとりとして。
 頭がい骨を抱えて歩き、バスに乗り込む彼女を不審に思わなかったというわけです。

 なんだか白昼夢のような話です。
 誰がどのような説明をつけるのかは分かりません。
 その頭がい骨の持ち主の方のご冥福を、心から祈らずにはいられません。

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