聞後共感👂

皆さま、こんばんは。今週は陰山です。

先日、御門徒さんのお宅にお参りして、そこのご主人とお話していると、
「息子さん何歳になられました？」
私「小２になりました。」
「もうそんなになったんですか。時間経つのは早いですねー…うちの孫はもう高一なりましたわ。ほんま最近生意気になってきてね。けどね、よう考えたら私もそんな時あったんですよね。」
そんなお話をして、そろそろ失礼します。とお仏壇にご挨拶して帰ろうと立った時に、
「いや、ほんまこんな年なって、やっと気付いたんですわ。最近いつもこの写真見ながら、申し訳なかったなーと思うんです。」
と、お仏壇の横に飾られているご両親の写真をしみじみと見ながらおっしゃっておられました。

そんな会話を通して、数年前のある話を思い出しました。

お母様の一周忌のご法事で来られたご夫婦がおられました。
ご夫婦の年は、私の両親と同世代ぐらいの、70歳前後です。
お勤めの後、お茶を出しに来た私の母とその奥様が話をしておりました。
二人とも、義理の母親の介護を経験しており、
「もっと優しく接したげたらよかった…」
と二人で涙を流しながら話し合っていました。
共感という力はすごいなと感じると同時に、同じように共感できない自分を頼りなく思いながら、二人の姿を見ていました。

私がどれだけ頭で想像しても、それは想像の域を出ず、実際の経験には及びません。
介護の経験をされた方は、その方にしか分からない思いがあります。
先のご主人も、その立場にならなければ分からなかったことがあるのだろうと思います。
今、初めて親になり、孫が生まれ成長し、自身が若かった頃の親の気持ちを想像することができるのでしょう。

今、私にその気持ちは分からず、共感することができなかったとしても、その気持ちを聞かせて頂くというのは大事なことでしょう。
それがあるからこそ、自分にその時期が来た時に、あーそうやったんやな。と気付き、そこで初めて共感できるんでしょうね。
聞くことなしに、何も始まらないなと思います。

行信教校の先生は
「聞いたこと以上のものは私から出て来ない」
と、よくおっしゃっておられました。

行信教校の建学の精神は
「学佛大悲心（佛の大悲心を学ぶ）」
です。
それはお聖教を学びながら、阿弥陀さんのお慈悲のお心をお聞かせ頂き、このいのちを生きさせて頂くということだと思います。
そのお慈悲は決して私を忘れることなく、常に私にお念仏させようと、お浄土へと導こうと、さとりに到らせようとはたらいてくださっています。

親鸞聖人は『一念多念文意』というお書物に、

「恆」はつねにといふ、「願」はねがふといふなり。
いまつねにといふは、たえぬこころなり、おりにしたがふて、ときどきもねがへといふなり。
いまつねにといふは、常の義にあらず。常といふは、つねなること、ひまなかれといふこころなり。ときとしてたえず、ところとしてへだてずきらはぬを常といふなり。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『浄土真宗聖典全書　二』

とおっしゃられています。
「恆」は間々に休みがあるが続いている「つね」。
「常」は一瞬も休みなくずっと続いている「つね」。
この「恆」は私で、「常」は阿弥陀さんだと教えて頂きました。

時々でも私の口にお念仏が出て来てくださるのは、阿弥陀さんのご本願が「常」にはたらいてくださっているから。
普段の生活の中で、常に阿彌陀さんのことを考えているわけではありません。
それでも時々、時々阿彌陀さんのことを思わせて頂くのは、阿弥陀さんが「常」に私の上にはたらいているから。
いくら私が忘れても、阿弥陀さんは決して私を忘れない。というお言葉はよくお聞きします。

忘れるということは聞いたからです。
聞いていなければ知らないのです。
時々でもお念仏し、思うことが出来ることは、聞かせて頂いていたからです。

私が阿彌陀さんのお心に本当に共感させて頂けるのは往生し、仏とならせて頂く時です。
それを楽しみに、それまでは恆にお慈悲のお心を聞き続けて生きていかなければなあと、行信教校の夏休みの最後に思っております。

夏休みで腑抜け、中々お聴聞にも行かない自分への戒めを込めた記事でした。
早く授業始まって欲しい...

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