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ビーとパピーキャット 考察・感想
ネタバレ配慮してません
人生で一番リピートしたアニメです。
色合い、音楽、世界観、何もかもが他とは一線を画してて一目見た瞬間からグッと引き込まれました。
喋りも全体的にゆったりしてるし音楽もlo-fiやFuture Bassが好きな人にはたまらない心地よさなので寝る時に流しておくとぐっすり寝れます。
何も考えなくとも視覚と聴覚だけで十分楽しめる作品になってますが、考察の余地が有る深さとミステリアスさを持っているので、気になった点などを考察していきたいと思います。
■カルダモンもロボット?
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これはNETFLIX版に限った話です。
第3話、ビーがドーナツと一緒にカルダモンに残した手紙には
It's my birthday. So it's your birthday too.
(今日は私の誕生日。だから君の誕生日でもあるわね)
とあります。
書き方がちょっと引っかかりますよね。
そしてカルダモンは、爆発物であるキャンディーをビーと半分こして食べるのが好き。
恐らくキャンディーはビー達ロボットを動かすエネルギーになっているんでしょう。だから1年に1回、誕生日のタイミングで供給されるし、第10話では夜までキャンディーを食べなかったビーが頻繁にせき込んでいたんだと思います。
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極めつけは第2話、宇宙船のスイッチがオンになったシーン。
映るのが一瞬なので気付き難いのですが、ビーとカルダモン、バイオレット、それにもう1人居たであろうロボットの状態がディスプレイに表示されています。
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「B」はビーのシルエット
「C」はカルダモンのシルエット。
2人とも「unplugged」と書かれているので、元々は宇宙船と繋がっていたのでしょう。
そして一番下の草みたいな記号(おそらくスミレ)がバイオレットですね。
このソラ豆みたいなのから羽生えてるマークはバイオレットに接続されているモニターに映っていたので、間違いないと思います。
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「A」は「retired」と書かれているしシルエットも見覚えが無いので、恐らく劇中には登場していないんでしょう。
カルダモン、最初はてっきりバイオレットとパピーキャットの子かと思っていたのですが、どうやらロボットだったみたいですね。
■バイオレットもロボット…?
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上に載せたディスプレイの画像で既に気付いているかもしれませんが、バイオレットの状態は「バックアップ使用中」なんですよね。
この「バックアップ」が
「記憶データのバックアップ」なのか
「なんらかの治療や補助」なのかは私の英語力では判断がつきませんでしたが【ベッドで寝ているバイオレット=ロボット】の可能性はゼロではないと思っています。
なんらかのアクシデントによってバイオレットは既に死んでしまっていて、生前の記憶データを引き継がせたロボットを機能させようと試行錯誤した結果、副産物としてビーやカルダモンが生まれたという物語が有ったら悲しくて素敵だなーと思ったので。
(このアニメはKAWAIIの皮を被った悲劇と解釈してるので…)
ロボット説を推すもう一つの理由は
「治療や補助」だったにしては、最終話で目覚めた時ピンピンし過ぎという点です。
歳を取りたくない等の理由から、宇宙船が直るまではコールドスリープしてるという線も捨てきれなくはないのですが、だったら「backup in use」なんて書くかな?というのが自分の所感です。
いずれにせよ、バイオレットは未回収の伏線だらけなので今後がもし有るのであれば展開が楽しみですね。
■ビーの父親は何をしようとしている?
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ビーとカルダモンの父親って、8話の天才赤ちゃんですよね?
この人、謎多くないですか?
パピーキャットには「宇宙船を直す」って言っておいて雲隠れ。
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自分の作ったロボット達をどこかから観察していて
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”手”の人たちにも関係がありそうな感じだし…。
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時系列で推測するとこんな感じ?
・パピーキャットの船がこの星に不時着
この時にバイオレットが負傷(or死亡)した為
現在は治療中?(orロボット調整中?)
・船を直す為にビーを開発
ビーの認識では、海中に散らばっている船の部品は【私のもの】であり
【いつかは拾い集めなくてはいけないもの】なので船を直す為のロボットとして作られた可能性?
・カルダモン制作
用途不明。ちっちゃい子好きのバイオレットのため?
・父親、メンテナンス機器だけ残して何故か失踪
・現在に至る
そもそも8話のキャンディーハンター時代からどれだけ時間が経ってるのかなんですが、赤ちゃんが中年になってる時点で少なくとも30年は経過してるはずですよね。
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デッカードが幼少期ビーにあやしてもらった記憶を持ってるということは、パピーキャット達がこの星に不時着してから少なくとも18年(デッカードの最少年齢の見積もり)以上は経っているはずです。
もしビーが人間と同じ速度で今の姿に成長したんだとしたら、この星に着いてから40年ぐらい経っている可能性も有りますね。
(船が島になってる時点で相当な年月が経ってそうですが、あの島の天候は意味が解らんので考察材料から外しました)
何でも作れる天才メカニックが、故障した船の修理に40年もかかるなんてこと有ります…?
彼の目的、もはや船の修理じゃなくて自分の作ったロボットを成長・発達させることに変わってますよね。
だから失踪して強制的にビーを一人立ちさせ、遠くから成長を観察してるんだと思うのですが、そうすると今度また別の疑問が浮かぶんですよね。
なんの為に?って。
この人、若干サイコパス気質な所が有るので何気に悪意の無い黒幕なのでは…?と勝手に予想しています。
今後の展開が楽しみですね!
■作品のテーマ
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一言でまとめたら「モラトリアム」だと解釈しています。
働きたくない。ゲームやアニメみたいな幻想の世界にいつまでも浸っていたい。BOSSY(指図されたり、自分も他人に指図しなければならない状況)が嫌。
自分の進むべき道が解らない。
好きではないが得意な分野で身銭を稼ぐべきか、不得意だが好きな分野で夢を追うべきか。
己の行動の責任を果たす為に愛の無い人生を歩むのか。
自分の好きなように生きることは他人からしたら無責任で身勝手なのか。
本当の優しさとは何なのか。
デッカードの家族が一番わかりやすくモラトリアムを描いてくれていますが、各話の派遣先でのエピソードも色んなことを考えさせてくれますよね。
(4話の”やさしいパンチ”が、デッカードの背中を押したことに掛かっていると気付いた時、ちょっと泣きました)
他の要素のインパクトが強すぎるので主軸が見え難いのですが
NETFLIX版のビーパピはビーがモラトリアムから脱却するまでの物語だと自分は解釈しています。
(逆に、Youtubeb版はデッカードがモラトリアムを脱却したことによって二人の関係が終わってしまったかのように映っていたので、かなり悲壮な終わり方でした。その為、大衆受けし易い形にまとめたのがNETFLIX版なのかな、と考えています。
あれだけ尺を引き延ばしたのに全く味が薄まらず、よりメッセージ性を強くできてるのが脚本神すぎだなって思いました)
更に言うと、ビーパピの凄い所は
「モラトリアムを脱却する=正」として描いていない所なんですよね。
デッカードは結局 挫折して帰って来たし、脱却済であろうキャスもあまり幸せそうに描かれてない。脱却後のビーは5人に分裂し、本体であるビーはラスト微笑んでいたがかなり含みのある表情だった。
モラトリアムを”終わらせるべきもの”と決めつけず、モラトリアム、有るよねー解るー、みんなそうだよね、全然焦んなくていいし、てか別に抱えたままでも良くね?みたいな、そういう寄り添ってくれる感じの作品だなって自分は感じました。
ビーの、やらなきゃいけない事を先延ばしにしてダラダラ過ごしてる感じとか…普通だったらもっと「良くない状態」として描かれるのに、「良くも悪くもない、ただの日常」として描かれてる感じが凄く寄り添い感あって良かったです。
迷える者たちの味方…。
余談ですが、クリスピンは「結婚に関するモラトリアムを描く役割」のキャラだと思っています。
マーリンの対になるというか、2人で1つのメッセージというか。
まだビーに未練タラタラな点やビーとの同棲解消時の会話から察するに、別れたのは「ビーがロボットだから=人間と同じ時間を歩めないから」な気がします。
子供が産めない、一般的な男女の関係が望めない(上顎なにも感じないの発言すごいリアルだった…性欲の有る人間からしたら性生活の可否も判断材料になるだろうからね…)つまり好きだけど将来の展望が望めない女性と添う方が幸せなのか、愛は無くとも普遍的な家庭を持つのが幸せなのか、という大半の大人が一度は抱えたであろう葛藤が見えますよね、マーリンとクリスピン。
自分の好きなことを仕事にして我が道を突っ切ってるクリスピンに対し、医大に行ったマーリンは「それが夢だったから」というよりは「安泰だから」という印象を受けました。
生き方が綺麗に対になっているので、もしビーパピ2が出るのであればクリスピンとマーリンがそれぞれどうなってるのかが楽しみですね。
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以上、自分の考察・感想でした。
まだまだ考察できそうな部分が沢山ある深いアニメですので、ぜひYoutube版から観てみてください!
ここまで読んでくださってありがとうございました!
★ただのYouTube版の感想★
個人的に、Youtube版の悲壮感かなり好きでした。
人との繋がりは”同じ速度で歩めるか否か”だという事実があまりにも残酷で胸に刺さる…。
成長は出会いの始まりであり、これまでとのお別れでもありますからね…。
誰がとか何がとか、悪い部分が有る訳ではなくとも自然と別れていくことはありますよね。人は良くも悪くも変わっていくものなので。
このアニメ、世界観はこんなにもユメ可愛いのに描いてる物語はめちゃくちゃ悲しいんですよ。
王女の想いは結果的にタコを殺し
デッカードとビーの愛はお互いの成長を妨げ
魔法のドーナツが有るのにこどもの願いは叶わない。
あんまりにも悲しい…。
何もかもがままならなくて、でも我々は夢物語の住人ではないのでそういうままならない現実を生きていくしかない。
あれだけ幻想的な世界を毎話提供してくれてたのに、最後の最後でいきなり現実世界に引き戻してくるんですよ。
残酷…。だからこそ好き。
ラストの、パピーキャットの「大人になったら何になりたい?」という質問に
ビーが「わからない。何でも?答えになってるかな?何でもって」と答えるシーン。
ビーの最後の「everything」って力なく呟く感じがめっちゃ悲しくて大好きでした。