やさしいワインのはなし その2(保存)
ワインをご家庭で買った時、一般の方が最も知りたいのは保存法だと思います。よく赤は常温と言いますが、これは夏でも滅多に30度を超えないフランスなどのヨーロッパ諸国の話であって、日本は別だと思ってください(近年は温暖化の影響で、おそらくヨーロッパも暑いとは思います)。
南のイメージのあるローマであっても東京とは平均気温が全然違います。ただワインが30度以上の環境で即傷むかと言えば、そうでもありません。むしろ赤ワインの場合、冷蔵庫に入れる方が澱が出たり品質は変わりやすいのです。買って来てしばらくで飲んでしまう赤なら、夏場でも家の中で最も涼しい場所、出来ればエアコンの風や光の影響をあまり受けない場所、一軒家であれば床下収納、なければ温度変化の少なそうな押入れ(布団の間に寝かせて挟むのがベター)などが良いと思います。開けるしばらく前に冷蔵庫に入れるか水などで20度前後に冷やせば、特別な物以外は充分美味しく飲めます。白の場合、短期間なら冷蔵庫ですが、温度的には飲む前日以外は野菜室などが適当です。とにかく急激な温度変化と振動が大敵ですので、ドア付近でない方が賢明です。どうしても長期保存したい年代物の高級ワインの場合は赤白問わず良いワインセラー(コンプレッサーでない無振動型)を持っている知り合いかお店に預けるのが1番です。ご家庭用のコンプレッサータイプのワインセラーの場合は、長年置かない方が無難でしょう。もっとも若いワインであれば、そんなに気にする必要はないと思います。
飲む時の温度も個人の好みで良いでしょう。ただ、液体はすべて基本的に温度が低い方が味が強く感じられるということがあります。つまり白を冷やすのは、酸味を立たせて爽やかにしたいから。逆に赤を冷やさないのは、酸味渋味が強くなりすぎるのを防ぐためなのです。ですから、高級な白ワインの温度は高め、ボージョレ・ヌーヴォーのような渋くない赤は少し冷やした方が美味しいと言われる所以です。
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