玉茶庵流パスタ料理の基本
パスタには500を超える種類がありますが、今回は主に日常最もよく使う乾燥のロングパスタを中心に説明します。生麵の場合、実際の太さより太目の乾麵に相当すると考えれば失敗は少ないと思います。
まず全体的に言えることは、黄色いつやのある麵より、白っぽいざらざらしたものがお勧めであるということです。これは麵の乾燥過程の差で、短時間に冷却乾燥させたものに比べ、ゆっくりと乾燥させた物は白くざらざらした仕上がりとなるからです。すべすべの物よりソースの絡みが良くなるのは言うまでもありません。さらにここでは太さによって4つに分けて説明致します。
まず一番の基本は、細麵にはさらりとしたソース、太麵ほどドロッとしたソースが合うということです。小難しく言えば表面積と毛細管現象のためなのですが、それよりラーメンで、あっさりとした中華そばには細麵、濃厚豚骨や味噌には太麵が合うのと同じだと思えば分かり易いでしょう。家庭でもいつも同じスパゲティじゃ物足りない方に、是非チャレンジして欲しいと思います。
さらに失敗しないための最も大事なポイントは、ソースや具に火をしっかり入れてから、初めて麵を茹でることです。テレビの料理番組は先に麵を茹でますが、それは時間に追われている上、手際抜群のプロだからです。時間の制約のない素人が真似すべきではありません。私が修行したイタリアンレストランは、席が毎日ランチだけで4回転以上するほど忙しい店でしたが、ディナーは後茹ででした。
なお、太さは標準的な目安で、異なる表示の場合もあります。大体、0.1㎜にこだわったりしない大らかさこそがイタリアンの長所ではないでしょうか。ただ基本中の基本として心得て頂きたいのは、アルデンテとは麺にソースを浸み込ませる余地を残す茹で方のことであって、食べる時のベストの硬さを指すわけではないということです。日本でもイタリアでも固麺好きはいますが、それと味が充分浸み込んでいない作りかけは違うのです。標準的なアルデンテは、表示時間マイナス1分くらいですが、さらに茹で時間を減らした場合、ソースを吸わせる時間は2~3倍掛かります。固麺を作る方が時間も掛かり難しいと思っていてください。
また、私は通常茹で汁は使わないので、薄めのコンソメを多用しています。勿論茹で汁を使うのは良いことなのですが、茹でるパスタと時間によって塩分が一定ではありませんから、使う場合は注意が必要です。どちらにしても使うのは最初の1度きりにして、ソースが少なくなった時は白湯で伸ばさないと後から修正出来なくなります。
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