「思いつめた恋ほど怖いものはない」・・・恋の歌、少し変えるだけで、こんなに怖くなる その3
「身を焦がす思い」と言う言葉があります。
都々逸でも、
「恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす 」
という名作があります。
耐える恋、熱く思い続ける恋は、時に恐怖と隣り合わせなのです。
〇「忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな」右近
(大意:忘れ去られる私の身は何とも思わない。けれど、いつまでも愛
すると神に誓ったあの人が、(神罰が下って)命を落とすことに
なるのが惜しまれてならないのです。)
この歌はこのままでも怖い話ですね。
振られたのに上から目線で、内面の「神罰が下ってしまえ」という恨みが感じられて怖いです。
〇「君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな」藤原義孝
(大意:「あなたの為なら、この命など惜しくない。でも会った瞬間に
この時間が長く続いてほしいと思う」)
●「君が為、君が為と語りつつ
君の命など 惜しからざりし」
(大意:「あなたの為よ」と言う私だが、本当はあなたの命など惜しいとは思っていないのですよ)
愛の反対語は無関心であると言います。
相手の事を相手の身になって思えない状態は、相手の心に関心が無い、相手に無関心なのでしょう。それはもはや愛ではなく、執着そのもの。愛のない心が恐怖を生み出すのでしょうね。
恋を歌う言葉も、少し変えるだけで、恐怖を伝える瞬間の描写になります。ということは、やはり愛の隣に恐怖があるのでしょうか。
短歌で愛を紡いでおられる方々、ごめんなさい。
言葉を学ぶための、遊びだと思って見のがしてください。
つづく
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