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「サプライズ・キラー」・・・廊下の隅にあったものは。


12月の22か23日。ちょうどこれくらいの時期だったと思う。

当時小学3年生だった私は、夕食を済ませ自室で本を読んでいた。
何を読んでいたのか覚えていないが、内容だけは覚えている。

「普段通らない道を通ると、新しい発見がある」

そんなことが書かれていた。

読み終えた私は、寝る前にトイレに行こうと部屋を出た。
両親はまだリビングでテレビを見ているようだった。

私は、読んだばかりの本に影響を受けたのか、両親の邪魔をしないように考えたのか、
とにかく、普段はあまり使わない廊下を通ってトイレに行った。

ブルッと寒さに震えた私は、薄暗い廊下の隅に積まれた箱を見つけた。
大小サイズの違う平たい箱が3箱。目立たぬように重ねて置かれている。

「こんなもの、昼間あったかな?」

私は、積まれた箱に近づいてみた。

それは、プラモデルとボードゲームと組み立てブロック(レゴのパチモノ)の箱だった。
そして、私は何も考えず、本当に何も感じずに、それらの箱を抱えて、
リビングに入って行った。

「ねえ。これ何?」

両親は、言葉もなく私の手にある箱と私の顔を見比べていた。

こうして私は、せっかくのサプライズを、台無しにしてしまったのである。

それらの箱はそのままリビングに2日間置かれ、24日の夜にクリスマスケーキと一緒に
プレゼントされたが、その2日間、箱の横を通るたび、少し申し訳ないような
複雑な気分になったのを覚えている。


おわり


これは別のところにも出した話を改稿したものです。
これ以降は、こんな豪華なプレゼントを貰えることは無く、
ケーキと文房具くらいで済まされるようになり、同時にサプライズも無くなりました。
おそらくこの時は非常に景気の良い時期で、家業も儲かっていたのでしょう。


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