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「コインロッカーの娘」・・・怪談。そこで男が見たものは。


「コインロッカーの娘」 作・夢乃玉堂

その駅のロッカーを開けた時、郷司は思わず悲鳴を上げそうになった。
ロッカーの中に窮屈そうに女の子が、しゃがみ込んでいたのだ。

真っ赤に充実した目に見つめられ、反射的に目をつぶった。

恐る恐る目を開けると、そのには、空っぽのロッカーがあるだけだった。

怖くなった郷司は、そのロッカーを諦め、別のロッカーに荷物を入れた。

しばらくして、過去の事件を書き込んでいるサイトに
そのロッカーの事が書かれていた。

そこは、10年前に起こったある殺人事件で、犯人が遺体を隠すのに使ったらしい。
犯人は自称呪術師、人を呪うための儀式にロッカーを使ったらしい。
扉の下から血がにじみ出て発覚したという。

被害者は3歳くらいの女の子だったと書かれている。
郷司が見たのは中学生くらいの女の子だ。

違うかな、と思ったのもあって、
それからしばらく、郷司はそのロッカーの事を忘れていた。

それからさらに20年が経ち、たまたま仕事でその駅に
出かけた時、そのロッカーの事を思い出した。

勿論、郷司はそのロッカーを開ける事は出来なかった。

依然と同じ体験をするのが怖かったのもあったが
さらに怖い事を想像してしまったのだ。

呪術師が犯行を行った時、被害者は3歳。
郷司が中学生くらいの娘の霊が窮屈そうにロッカーにいたのが
その10年後。
そして、今はそれから20年後だ。
3歳、13、33・・・

その少し前、郷司はある友人から聞かされていた。
呪術師は、人の恨みの念を結界の中に閉じ込めて呪術に使うということを。

おわり

・・・・・・・・・

何だか嫌な話を書いてしまった。

不健全だ。もっと明るいものが良いだろう。

くわばらくわばら。

*冒頭の写真はイメージです。お話とは関係ありません。


#怪談 #ロッカー #呪術 #33歳 #中学生 #恐怖 #不思議 #謎

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夢乃玉堂
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