「ぞうきん。捻じられた夜」・・・超ショート怪談。とても短い夢の話。
これは、ある友人から聞いた話。
そいつは、その時まで幽霊を見たことも、金縛りにあったことも無かったという。当然のように心霊現象など全く信じていなかった。
そんな彼が、ある夜不思議な体験をした。
布団に寝ていると、金縛りにあって動けなくなる。
「お。これが噂の金縛りか」
と少し楽しむくらいの余裕があったらしい。
「目ははっきり見えているのに、起き上がることが出来ない。
でもそれだけだ」
と、気丈な彼は自らの体に起こっていることを冷静に観察していた。
やがて、両手足が左右に開かれていき、
伸びた足の先がまるで濡れた雑巾を絞るように、
ぎゅううううっと捻じられていった。
続いて両手の先が、ぎゅううううっと絞られていく。
痛みは全く無い。
どれだけ捻じられ絞られても、全く痛くない。
気が付くと、手足は四本の太いネジのようになってしまった。
体は動かせないままだが、ネジネジの腕の先で、
指先が少し動かせるのが、逆に気持ち悪く思えたという。
「なんだろうこれは」
彼は怖さよりも、驚きの方が多かったらしい。
しばらくすると、手足の捻じれは徐々に解消していった。
結局、それ以上何も起こらなかった。
翌朝まで眠れぬ夜を過ごしたことだけは覚えているそうだ。
おわり
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