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玉堂デスヨ。

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癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。
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2023年3月の記事一覧

「アメニモマケズ・・・」・・・距離を持って社会を見る大切さ。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩を小学生の頃、隣のクラスの先生が生徒たちに暗唱するように教えていました。 教室の壁にも大きく全文が書かれた横断幕が貼られていて、他のクラスの者からすると、ちょっと照れくさく感じたのを覚えています。 逆にそうやって、「距離を持って物事を見つめる大切さ」を学んだ、と後の同窓会で話していた友人もいたのでした。 ところで、この「雨ニモマケズ」は、ストイックな内容であるがゆえに、パロディのネタにされがちです。 習ったばかりの小学生時代にも、雨天の下校

「凶を吉に変える方法」・・・色々あるけど、怪談和尚他の話によると。

辛い出来事に出会うと、 人はどうしても、何かに縋りつきたくなる。 その時に悪い人がいると、大して価値が無い高額のお札やお守りや壷などに、お金をつぎ込むことで、救われるような気分になる。 その向こうにいる相手が悪意を持っていたとしても、それには気づかないのである。 それで、タイトルの「凶を吉に変える方法」であるが、これは、青年期の恋愛のおまじないから、藁人形、呪いの方法など、少し検索すれば大量にヒットする。 一方で簡単に心が前とか日常の会話で「凶を吉に変える方法」を伝授

「習気」(じっけ)・・・とは? 怪談和尚三木大雲さんのお話によると。

「習気」と書いて「じっけ」と読む。 同じく「習気」と書いて、「しゅうき」と読むと、単なる身に付いた習慣を指すらしいが、「じっけ」はもう少し深い。 仏教用語で「習気」(じっけ)」とは、 煩悩によって心に印象づけられる習性・思想・行為などを言う。 言語的表象から生ずる名言(みょうごん)習気、 我執から生ずる我執習気、 善悪の業から生ずる有支(うし)習気の三種がある。 怪談和尚として知られる京都の三木大雲さんによると、 前世で習得した技術や経験が、現世で持って生まれた才能として

「髪」・・・超ショート怪談。神は女の命と言われた時代があった。現代でもそう信じている人が・・・。

最近、かなり髪を短くしてイメチェンをした人に会った。 髪は個性の一部だから、髪型を変えるだけで、印象が変わるし、性格も積極的に変わったような気持になる。 軽快に楽しくなっているように見えるのだ。 だが、次の話のような考えの人では、あまりよくないようである・・・ 『髪』 「髪切っても良い?って聞いて、どう答えるかが 付き合う、付き合わないの判断基準にしているの。 勿体ないとか言うなら、 見た目で私の事を値踏みしているって事でしょ。 そんな人はお断り、次の出会いを待つわ」

「北からの脅迫電話」・・・短編。ちょっと箸休めの一遍。かかってきた電話は。

「脅迫」 もしもし。よぐ聞げよ。 あんだの娘は預がったっちゃ。 返して欲しかったら、3000万円用意してけさいん。 けっぱって3000万円集めたら、 明日の夜12時に、七夕飾りの7本まなぐっこの下さある箱の中さ入れるんだおん。 金受げ取ったら、娘は返すだっちゃ。 ああ。警察さは知らせんなよ。 んだ。 もし警察動いでるのが分がったら わしら、ごしゃがれて、娘の命はねぁーぞ。 もういっかいかだるよ。命はねぁってべっちゃよ。 ガチャン! *宮城弁の誘拐犯からの脅迫電

「麻田君、オーディションに行く」・・・短編。あるミュージカルのオーディション会場で見たものは。

「面白いものが見られるぞ」 バイトを紹介してくれた大学の先輩が言っていた言葉を思い出しながら、 麻田君は、とある舞台のオーディション会場にいた。 大手エンターテインメント会社が社運を賭けて公演するという輸入ミュージカル舞台で、ミュージカルに興味の無い麻田君でも、そのタイトルは聞いたことがあった。 「ミュージカルって、なんで芝居の途中で歌わなきゃいけないんだろう」 紹介してくれた先輩には悪いが、当時の麻田君の ミュージカルに対する認識は、その程度。 素人にありがちな偏見

「帰ってきたウルトラマン」・・・団時朗さん逝去。

「シン・ウルトラマン」の次が「続・シン・ウルトラマン」その次が「シン・ウルトラセブン」と企画書では書かれているらしい。 「帰ってきた・・・」は作らないのかな?と思っていたら、 主演の団時朗さんが亡くなった。享年74歳でまだまだ 活躍できそうな気がしていたが、残念でならない。 「帰ってきたウルトラマン」で初めて拝見して、ウルトラマンより変身前の郷秀樹隊員の方がかっこいい、と思っていた。(その後郷ひろみさんと西城秀樹さんがデビューし、当時の子供たちは「郷で秀樹じゃん」と語ってい

「落としたい女たち」・・・お江戸両国亭。

「落としたい女たち」と聞いて、どれほど色っぽい会なのかと思ったら、 女性による落語会だ。 なるほど、「オチのある話をしたい」、つまり、「落としたい」女ということか。 声を掛けてくれたのは、友人の野良のりオさん。のりオ、と言ってもれっきとした女優である。 以前から注目していたが、落語もすると聞いて、興味がわいた。 総武線の両国駅から数分の所に、お江戸両国亭はある。 初めて行ったが、あっけらかんとした明るさ。オフィスの一角のような場所だが、定期的に落語会なども開かれている

「聖地巡礼沖縄の旅」・・・怪談。不思議な写真を彼氏に見せると。

高校1年の時から付き合っている志郎とは、もう4年目になる。最近ちょっと倦怠期気味だ。 どこへ遊びに行っても、新鮮味が無く、高級なレストランもどこか味気なく感じてしまう。 私は、倦怠期を乗り越えるため、スマホに残っている昔の写真を志郎と一緒に見返す事にした。 楽しかった頃を思い出せば、二人の関係も、 良くなるかもしれない、と思ったのだ。 狙いは当たった。 「テーマパーク、安曇野のキャンプ、白馬のスノボも楽しかったね」 と、私たちは思い出を語り合った。 自然にボディタッ

「武闘派なんて呼ばないで」・・・短編。ちょっと切なくおかしい、恋と引っ越しの物語。

「武闘派なんて呼ばないで」 作 夢乃玉堂 『逆立ちすると、頭に血が回って考えがまとまる』なんて、 どこかの受験雑誌に書いてあったけど、あれは嘘だと思う。 私は本棚に寄りかからせていた足を下ろし、 逆立ちを止めて座りなおした。 「何を迷っているのだ武藤ヒロ。 ただ一言、『愛しています』と言うだけじゃないか」 日曜の朝の3時間。私はずっと悩んでいた。 「北高(きたこう)野球部屈指の仕切り屋で男子部員にもひるまず、 言いたい事を言ってきたマネージャーだろう。 それなのに肝

ありがとうございました。第五回「森章二の素読みの会」

たくさんのお客様にお越しいただきまして、ありがとうございます。 ご来場いただきましたお客様には心より感謝いたします。 時代を感じさせる古民家風の喫茶「トンボロ」で、 ベテラン俳優・森章二さんが語る江戸のお話は、非常に面白く、江戸時代の吉原や大奥のお話、興味の尽きないお話でした。 その後の、私の作品の朗読。 緩急巧みで、笑いも怒りも実に素晴らしく表現される森さんの語りに、お客様は聞き入っていました。 会場限定のシナリオ本も好評でした。 本当に感謝いたします。 次回「素読

「頑固おやじの呟き」・・・超ショート。親孝行したい人にちょっと待てと言いたい。

「何とか生活に余裕も出てきた。これから俺は親孝行したいんだよ」 息子のそんなセリフに、簡単に篭絡されていう事を聞くわしじゃねえ!。 甘え。甘えぞ!そうは行くもんか。 おめえは親不孝モンだ 簡単に親孝行なんかさせてやらんぞ。 生活に余裕が出てきたじゃと? 生活費などわしも同じじゃ。貯金は無いが、内職はある。 どうじゃ、羨ましいじゃろう。 お前に金なんか出させてたまるか。 オレオレ詐欺が心配? ウチには金なんぞ無いと言ったろう。それにもし、おめえが金に困ってたって、そ

「森章二の素読みの会」いよいよ本日 19日(日)19時からです。

神楽坂の時代を感じさせる古民家風の喫茶「トンボロ」で、 ベテラン俳優・森章二さんが語る江戸話と朗読。 森章二さんの江戸話は、とても艶っぽいお話。 江戸時代の強大な権力を持った女の園「大奥」と 色々な文学にも登場する公娼の街「吉原」について。 そして、朗読は、「名刀・お喜美」。 政府の役人と女傑お喜美が激突!その豪快な活躍をお楽しみください。 本編に登場する小道具もご覧になれます。お楽しみに。 本日 3月19日日曜日 19時から  東京・神楽坂 喫茶「トンボロ」にて。 問

「ユニコーン人形に見せつけた夜」・・・怪談。オカルトを信じない彼女が取った行動とは。

大学の学園祭でお化け屋敷をやった。 子供じみた企画だったが、脅かす方は本格的にやってみようという事になり、準備のための部屋として、一人暮らしの俺の部屋が使われることになった。 黒いカーテンや白い着物、流血に見せるためのメイク道具などが運び込まれ、しばらくは寝る場所にも困るほどだった。 だが学園祭が終わると、集まった荷物は持ち主の元に帰って行った。 ただ一つ、ユニコーンに乗った子供の人形を除いて。 額に角を伸ばした青いユニコーンの上に、オレンジ色の服を着た子供の人形が