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次回NovelJam参加者へ あるいは NovelJam2024参戦記②
お世話になっております。
サラリーを食みながら小説を書いている湫川(くてがわ)という者です。
第一弾に続き、NovelJam2024に著者参加した個人記録の第二弾。
「チーム編成」、「プロットから本文執筆」、「BCCKS発刊」について。
1. チーム編成
NovelJam2024においては運任せのくじ引きによるチーム編成でした。
所属チームE
著者:谷 亜里砂 さん
著者:湫川 仰角
編集:M☆A☆S☆H さん
デザイナー:杉浦昭太郎 さん、いちじく さん
※いちじくさんは『隣星の背中をみていて』表紙イラストを担当してくださいました!
チームEは著者二人の名前イメージから『砂浜と湿原』と命名。
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アイコンがあると、チームとしてNovelJamを始動させた感が一気に湧き上がります
チーム内の成果物はGoogleドライブで適宜共有し、業務連絡は運営さんとも使っているslacksを使用。
編集M☆A☆S☆Hさんからのお話もあり、「ありきたりで予定調和的な展開だと思ったら指摘してほしい」という編集の方向性についてすり合わせを行いました。
さらっと書きましたが、方向性を最初に話しておくことは、初対面の間柄で双方向のコミュニケーションを構築するために大事だと思います。
2. プロットから本文執筆
NovelJamに参加すると、以下三つの要素を自分は持ち得ているのかを強く意識することになるでしょう。
1.プロット案をどれくらい短時間で出せるか?
2.どれくらい早く本文を書けるか、何文字/h?
3.書ききるためにどれだけ粘れるか?
著者はより面白いものを書く気持ちに溢れているでしょうが、とかく時間のことが脳裏をよぎります。NovelJam2024の日程は以下の通り。
1日目
10:30 開会式・チームビルディング・執筆開始
21:00 解散(東京会場)
2日目
9:00 再集結・執筆再開
21:00 解散(東京会場)
3日目
9:00 再集結・執筆開始
10:00 最終原稿提出(審査用)BCCKS製作開始
13:00 プレゼン
14:00 BCCKS発刊・閉会式
初日11:15頃にお題とテーマが発表され、最終日10:00に原稿締め切りですから、執筆に使えるのは二日弱くらいです。
この期間中にお題を咀嚼したプロットを作り、編集者とすり合わせ、本文執筆の傍らでデザイナーさんと表紙のイメージについて意見交換をし、三千〜一万字の電子書籍を仕立てる必要があります。※人によってはプロット作らないこともありえるでしょう。
あなたなら、いけそうか、きつそうか、どちらだと感じるでしょうか。
いけそうなら行きましょう、あなたを止めるものはありません。
チームメイトの谷さんは完全に前者で、怪物みたいな速さでプロットから本文執筆から初稿まで駆け抜けていってしまいました。すごい。
私は後者です。
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未だ「とりあえず」なので、進捗の雲行きは怪しい
時間が許す限り、うんうん唸りながらプロットをこねくり回し苦心し続けました。
途中、プロットを共有していたデザイナー:杉浦さんから表紙イメージについての打ち合わせを実施。星新一単行本のイメージをお伝えしました。半ば思い付きではありましたが、良い情報交換ができました。
お話の展開でうまくいかない所は編集M☆A☆S☆Hさんとも相談し、組み立てていた内容フワフワプロットに真摯な意見をいただきました。そのお陰で整理はできつつありますが、やはりイマイチお話に芯がない。プロット作る練習とはなんだったのかわかりませんが思いつかないのだから仕方がありません。結局初日は本文執筆まで至らず、悩み続けて夜が明けます。
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徹夜はしていませんが開場時間は勘違いしています
お話として伝えたいところを反芻し続け、それを伝えるための要素を足したり引いたりしながら一晩中考え続けたプロット、を読んだ編集さんの言葉↓
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完成原稿からすると、この時点でも使わなかった設定や変更した内容が書いてあります
最も多く執筆時間が取れる二日目。
朝の時点でタイトル『隣星の背中をみていて』をひねり出しており、どんなにプロットがボンヤリしていようとこれでいくしかありません。
プロットを多少膨らませた箱書きとして落とし込み、ひたすら本文に取り組みます。
口数少なく、焦りからかあまり食欲がなくてご飯も食べず、五時間あるカフェ環境音BGMを二周しながら書き続けます。
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本当にゆっくりな進みですが、せめて編集さんを不安にさせまいとこまめに報告をしておきます。
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300文字/hくらいという現実が直視できません。書いては消してを繰り返しているとはいえ、あまりに遅い執筆速度。
その間も、ぶつ切れ本文に逐次意見をくださる編集M☆A☆S☆Hさん、イラスト担当として加わったいちじくさんによる表紙の出来栄えを横目にしています。星新一っぽくというイメージが見事に具現化されたものです。
帰宅し、すぐにPCを開きました。
そこには、自作のために書いてくれた表紙があり、編集さんが寄せてくれた貴重な意見があり、書きかけの自分の原稿が横たわっています。
小説を書き始めて数年。執筆速度が遅いのは自覚していますが、こんな状況に立つのは初めてです。そして時ここに至り、初めて感じたことがあります。
それは、書ききれるかという不安を超え、中途半端じゃ終われないという自分に向けた意思を追い抜いた、自作に関わった人たちのためにより良く書かねばならないという責任感でした。その人たちの名前も一緒にクレジットされるんだ、ということに今更気がつきました。
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頭から何周も読み直して修正し続けます。
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なんとか書き終えました。
やりきった感を出していますが、しかし、未来のあなたに伝えたいのは、これは良い話ではないということです。
これで完成というわけではなく、これから編集さんが読んで修正し、bccksに落とし込んで本の形にしなければならないのです。
さらにここまで散々スクショしてきた通り、何度も書きかけの原稿を提出しています。するとどうなるか?
当然↓こうなるのです。
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本文はぶつ切りで編集し難いし、単純に邪魔です
1.プロット案をどれくらい短時間で出せるか?2.どれくらい早く本文を書けるか、何文字/h?3.書ききるためにどれだけ粘れるか?
この三要素、あなたは何を持っていますか。
3. BCCKS発刊
BCCKSへの落とし込みは編集M☆A☆S☆Hさんが担ってくれました。スマホひとつで。
M☆A☆S☆Hさんも夜遅くまで付き合ってくださった上であり、頭があがりません。
改めて掲載しますが、編集者さん、デザイナーさん、イラストレーターさんの大いなる後押しによってSF短編小説を出版することができました。
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明日贈賞式だというのに販促活動も何もありませんが、よければ読んでみてほしいです。
また次回。
2024年12月14日