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大学の課題と学生のニーズを考えると、地方創生への新たな可能性が見えてくる
地方と大学の関係性は、実は非常に重要である。これまで地方自治体へのヒアリングを通じて、大学進学を機に地方から都市部へ移り、そのまま都市で就職するケースが多いことを実感してきた。
今日、NHKの『クローズアップ現代』を視聴していると、大学の数が学生の数を上回り、多くの大学が定員割れを起こしているという現状が紹介されていた。さらに、都市部の大学を中心に経営難に直面しており、半数以上の大学が授業料の値上げを実施または検討しているという。この実情をテレビを見ただけで得られたのは非常に大きい。
大学・学生・地方の課題を解決する三方よしのアイデア
この状況を鑑みると、大学を地方創生に活用することが、新たなチャンスになり得るのではないかと考える。大学は安定した経営の維持という課題を抱え、一方で学生には授業料を抑えたいというニーズがある。この二つの要素を組み合わせた解決策として、国や県といった行政が大学に資金を提供し、その代わりに大学は地方へ移転、授業料を低価格にするというアイデアが考えられる。
もちろん、大学の数が飽和状態にある現状では、統廃合が前提となる。しかし、経営が厳しい都市部の大学にとっては、地方移転により安定した運営ができる可能性がある。また、学生にとっても、多額の奨学金を借りて卒業後に長期間の返済を強いられるより、地方で学び、卒業後も安定した生活環境を得る方が、より賢明な選択肢となるだろう。
卒業後も地域に留まりたくなる取り組みを
『クローズアップ現代』で取り上げられていた宮崎の大学では、地域課題をテーマとした授業を展開しており、地元住民とのコミュニティ形成にもつながっている。このような取り組みは、学生が卒業後も地域に貢献したいという意識を持つ契機となる。近年、オンライン授業を提供する大学も増えているが、地方創生と大学・学生の抱える課題を同時に解決できる可能性を秘めたプランが目の前にある。
もちろん、見えていない課題は山積みかもしれない。しかし、本気で取り組もうとする行政担当者や政治家が現れることで、地方と大学の関係性をより良いものへと変えていくことができるのではないだろうか。
と、私は考えます。(笑)