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マイクロコスモス。
観光客で溢れかえるメインストリートを横目に、ひと気のない路地に入る。
路地を入った少し先に”cafe”と手書きの看板が見えた。
築年数の経った2階建ての住宅を店舗にしたその店の1階。
店主らしき小柄な女性は視線を合わせずに小さく”いらっしゃいませ”と呟いた。
客席は2階らしい。1階にはお手製と思われる真空管アンプがいくつも置いてある。
2階に上がると先客の年配の夫婦がランチをどうしようかあれこれ相談する声が静かに聞こえてくる。オペラの楽曲だろうか、割と大きなボリュームでお手製のスピーカーから流れている。
![](https://assets.st-note.com/img/1699284027873-nEFTOqGJkV.jpg?width=1200)
階下のアンプを見せてもらった。
午後の強い光がアンプの周りには届かず、薄暗い棚のに静かに鎮座している。
アルミの筐体の上に大きな真空管が並んでいる。
その真空のガラスの中に仄かにヒーターの灯りが見える。
ぼんやりと灯る様はまるで小さな宇宙のようだ。