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コーラとサンドウィッチ。

ある日、海辺のカフェから外を眺めていた。
窓の外にはおしゃれなお爺さんがコーヒーを飲みながら英字新聞をのんびり読んでいた。

見るともなしに眺めていると、はるか昔の幼少の頃。
母方の祖父に連れられてサンドイッチを食べたことを思い出した。

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どこかの駅のスタンドだったと思う。
背が到底届きそうにない高いスツールに乗せてもらってこぼさないように真っ白なパンでできたサンドイッチを食べた。
祖父はそんな僕の姿を見て微笑みながらコーラを飲んでいた。

すらりとして白髪で、カッコいい自慢の祖父だった。
若い頃の剣道のおかげで背筋がピンと伸びて凛としている。
結婚してからもお見合いの話が何故かきたという逸話が残っていたくらいの二枚目の好男子。
背はさほど大きくなかったけど脚が長くスタイルが良かった。




彼は体の弱かった祖母をとてもとても大切にしていた。
箱入り娘で少し我儘な祖母をいつも優しく見守ってたくさんの優しい言葉をかけて、一緒に暮らしていた。

大学の頃。
その祖母が亡くなった。
当然ながら祖父の落ち込みは相当なものだった。
そばにいてもこちらの心がヒリヒリ痛くなるくらいの。
居た堪れないくらいの姿が痛々しかった。

それが辛かったからかもしれない。
あんなに尊敬し敬愛していた祖父に会いに行かなくなってしまった。

そして少しばかりの時が経って。
久しぶりに会ったときには彼には僕が誰だかもわからなくなっていた。

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取り留めもなくこんな記憶が湧き上がってくる。
この写真を撮った時はそこまで思いもしなかったのだけど。

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